トー・ラム書記長が国家主席を兼任、新首相にレ・ミン・フン氏
(ベトナム)
ハノイ発
2026年04月08日
ベトナムの第16期第1回国会が4月6日に開会し、新たな国家主席、首相、国会議長の人事を承認した。任期はいずれも2031年までの5年間となる。
共産党序列2位の国家主席については、党序列1位のトー・ラム書記長が兼任することが、7日付で決まった。ラム氏は1957年、北部フンイエン省生まれ。2016年から公安相として汚職捜査の中心的役割を担い、2024年5~8月の3カ月間、国家主席を務めた。その後、グエン・フー・チョン前書記長の死去に伴い書記長に就任し、2026年1月の共産党全国代表者大会で再任が決まった(2026年2月2日記事参照)。
集団指導体制(注1)をとるベトナムでは、これまで一時的措置として書記長と国家主席を兼任する例はあったが、5年の任期を通じて兼任する体制は異例といえる。
党序列3位の首相には、直近まで共産党中央組織委員長を務めていたレ・ミン・フン氏が7日付で選任された。フン氏は1970年、中部ハティン省生まれ。1997年に日本の政策研究大学院大学(GRIPS)の前身である埼玉大学大学院政策科学研究科を修了し、2016年にはベトナム国家銀行(中央銀行)総裁にベトナム史上最年少となる46歳で就任した。2024年に政治局員(注2)入りを果たしたばかりで、異例の昇格となる。なお、フン氏の父親も、ラム氏と同じく公安相を務めた。
党序列4位の国会議長には、チャン・タイン・マン氏が4月6日付で再任された。マン氏は1962年、南部カントー市(旧ハウザン省)生まれ。南部カントー市党委員会書記などを経て、2021年に政治局員入りし、2024年から国会議長を務めている。
今後国会では、新首相の提案に基づき、副首相や閣僚人事の承認も行う予定だ。
新体制の統治には期待と懸念
ラム氏は就任演説で、平和で安定した環境の維持、迅速かつ持続可能な発展の促進、国民の生活の質の向上などを自身の最優先課題として掲げた。また、科学技術やイノベーションを通じて新たな経済成長モデルを確立することも宣誓した。
ラム氏が書記長と国家主席を兼任することについては、権力集中への懸念が指摘される一方、経済成長を重視した実利的な政策推進を期待する声もある。
ロイター通信は、「権威主義の強化などベトナムの政治システムにリスクをもたらす可能性があるが、より迅速かつ効果的な政策の策定・実施が可能になる」とする識者の見解を報じている(ロイター通信4月7日)。
(注1)ベトナムは、5ポスト(書記長、国家主席、首相、国会議長、書記局常務)を最高指導部とする集団指導体制をとっている。なお、実質的に党内序列5位だった書記局常務は、2025年9月に新たに最高指導部に加えられた。
(注2)政治局員は、中央委員から選出される党の要職。政治局は、党大会や中央委員会の決議の実現を指導・監督し、党の活動方針や人事を実質的に決定する。
(萩原遼太朗)
(ベトナム)
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