中国、「国内企業の対外貸付管理弁法」を公布、人民元と外貨の一体管理を実施へ

(中国)

調査部中国北アジア課

2026年04月07日

中国人民銀行と国家外貨管理局は3月20日、「国内企業の対外貸付管理弁法」(以下、弁法)の公布に関する通知〔銀発(2026)63号、文書は3月13日付外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕を発表した。弁法は国内の非金融企業(以下、貸付人)が海外企業(以下、借入人)に対して行う国境を越えた貸し付けを対象とし、従来区別されていた人民元および外貨の対外貸付政策を統一・整備するものだ。2026年4月20日から施行される(注1)。

弁法では、貸付人は対外貸付契約の締結後、借入人への貸し付けを行う前に、登録地の国家外貨局分局において登録を申請しなければならないとした。また、登録した貸付額は2年以内に使用しなければならず、2年を超えた場合、未送金分は自動的に失効するとした。登録申請においては、貸付人・借入人双方が良好な経営実績を有していることや、双方が一定の資本関係を有していることなどが要件とされている。また、人民元と外貨を一体化したマクロプルーデンス管理(注2)を実施するとし、貸付人の海外貸付残高は、自己資本に応じた対外貸付残高上限(注3)を超えてはならないとした。

その他、対外貸付業務においては、貸付人は自己資金(注4)を用いることとされ、個人資金の使用や自己の債務による資金調達を貸し付けの資金源とすることはできないとした。また、借入人の事業範囲外への使用、対外投資規制を回避する目的での使用などは禁止され、契約で定められた用途の範囲内で使用されなければならないことなどを示した。

同日行われた記者会見において、人民銀行および外貨管理局の担当者は本弁法について、海外進出企業の生産・経営資金調達ニーズをより適切に満たし、クロスボーダー金融業務が実体経済に果たす役割を発揮させるものと説明した。その上で、発展と安全保障を両立させるため、人民元と外貨の一体化管理の考え方に基づき、対外貸付政策を統一し、安定的かつ予測可能な政策環境を整備するものであるとした(注5)。

(注1)本通知は主に国内の非金融企業の新規対外貸付業務を規定するもので、既存の対外貸付業務については、登録内容に変更がない場合、従来の登録に基づき継続可能とした。

(注2)金融システム全体のリスクの状況を分析・評価し、それに基づき制度設計や政策対応を行うことで、安定を確保する考え方。

(注3)対外貸付残高の上限は、貸付人の自己資本に係数を乗じて計算するもの。今回の通知では係数が引き上げられ、対外貸付上限額が拡大するかたちとなった。なお当局は、国際収支の状況および国家のマクロ経済調整の要請に基づき、係数などを適宜調整することができるとしている。

(注4)自己の人民元、自己の外貨および自己の人民元による外貨購入資金を指す。

(注5)第14期全国人民代表大会第4回会議(2026年3月6日記事参照)に伴い3月6日に行われた記者会見で、人民銀行の潘功勝総裁は、引き続き金融のハイレベルな対外開放を進め、中国経済の対外開放と質の高い発展に貢献するとした。その上で、ハイレベルな開放に見合った規制能力の構築を強化し、金融リスクの予防・管理能力を高め、国家の金融安全を守るとしていた。

(和田拓己)

(中国)

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