国家インフラ基金法が施行、大型案件発表もガバナンスに課題
(ケニア)
ナイロビ発
2026年04月14日
ケニアのウィリアム・ルト大統領は3月9日、国家インフラ基金法(National Infrastructure Fund Act 2026)に署名し対象となる大型案件を発表した。同法は3月25日に施行された。大統領は4月1日に、ジョン・ムバディ財務長官をトップとする理事会7人の人事も発表した。
同基金(NIF)は、国家的に重要なインフラプロジェクトの開発を促進し、公的債務への依存を低減しつつ、投資主導型の資金調達を実現することを目的として設立された。政府機関だが、通常予算とは切り離された法人格を持つ独立ファンドとなる。新たな公的債務を積み上げないよう、自ら借り入れはできない設計で、同基金の投資方針(5年計画)の議会承認が必要だ。今後10年間で5兆ケニア・シリング(約6兆円、1シリング=約1.2円)の資金調達を目指す方針だ。初期原資はケニア・パイプライン・カンパニー(KPC)など国有企業の部分民営化で得た資金を活用し、そこに年金基金や国際開発資金、気候金融、民間資金などを呼び込む。
国家インフラ基金法では、道路、鉄道、空港、港湾、発電、送配電を対象に設定し、「商業的に成立するインフラ」を支援することとしている。ルト大統領は3月9日の国家インフラ基金法(NIF法)の署名の際のスピーチで、NIFの最初のプロジェクトとしてジョモ・ケニヤッタ国際空港(JKIA)の拡張を挙げた。ほかにも、クリーンエネルギーによる1万メガワットの電力プロジェクト、50の大規模なダムの建設、ナイバシャからウガンダ国境のマラバまでの標準軌鉄道(SGR)の延伸プロジェクトなどを、NIFを活用して支援していくと述べた。
ケニア政府は積極的なインフラ計画を打ち出す一方で、その財政状況は極めて深刻で、IMFとの新しい支援プログラムの交渉は難航し、資本市場へのアクセスを急拡大している(2026年4月3日記事参照)。NIFは、国内年金・資本市場の活性化や、債務抑制と成長投資の両立の観点からアフリカ諸国の新しいインフラ金融モデルとして注目される一方で、ガバナンスなど多くの課題も指摘されている。現地紙などでは、NIFが独立機関でありながら大統領主導色が極めて強いことや、借り入れはできないが、実質的なリスクは政府が背負うことになること、対象とするインフラが本当に商業的に成立するもののみとなるのかなどが指摘されているほか、KPC民営化資金(1,060億ケニア・シリング)を基に1兆2,000億ケニア・シリングを動員する計画が楽観的すぎる、国内資本に過度な期待を寄せすぎていないかといった財務面での課題も指摘されている。
(佐藤丈治)
(ケニア)
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