予算監査院、ケニアの公的債務状況に警告

(ケニア)

ナイロビ発

2026年04月03日

ケニアの政府機関である予算監査院(CoB:Controller of Budget、注1)のマーガレット・ニャカンゴ監査院長は3月30日、議会の公的債務・民営化委員会に出席し、同国の厳しい財政状況を「債務蓄積の悪循環(vicious cycle of debt accumulation)」にあると説明した。

ニャカンゴ監査院長によると、2025年12月時点でケニアの公的債務残高は12兆2,900億ケニア・シリング(約15兆705億円、100円=81.55シリング)に達し、GDPにおける債務比率は法定上限である55%を大きく超え、67.8%にも及ぶ。さらに深刻なのは債務返済コストの急増で、年間の利払いだけで4,644億9,000万シリングに及び、元本は減らず、利息を払い続けているだけの状況であると指摘した。また、今後1年以内に期限を迎える約3兆3,200億シリングの対外債務について、返済圧力が極めて大きく、支払い不能に陥るリスクがあると警告した。

ニャカンゴ監査院長は、既存債務の返済のために政府が新たな借り入れを行う危険な状況が常態化している点も指摘した。ケニア財務省は中央銀行と連携し、2026年に満期を迎える債務圧力を軽減するため、ボンド・スイッチ(国債の交換)プログラムを継続的に実施している。また近年、政府は国内市場から集中的に借り入れを行っており、高利な短期借り入れを繰り返して、古い債務の返済を繋いでいる状況にある。これが金利上昇を招き、民間セクターへの融資を減少させてしまっているとも指摘した。ニャカンゴ監査院長は、議会で否決された支出について憲法223条(注)を用いて後から執行する慣行は財政規律を損なう「裏口」であると厳しく批判し、状況の改善には「借入の透明性」と「厳格な監視」が必要だと述べた。

ケニア政府はIMFから2021~2025年の間に総額最大36億ドルの支援プログラムを受けていたものの、2025年3月の第9回レビューを見送り、プログラムを途中で終了した。以降、新しい条件下で新規プログラムの開始について交渉が続けられているが、2026年3月末時点で合意に至っていない。

(注1)予算監査院はケニア憲法に基づき設置された独立した機関で、政府が予算どおりに、かつ合法的に公的資金を支出しているかを監視・統制する役割を担う。

(注2)憲法第223条は次のような場合に限り、予算外支出を一時的に可能としている。ただし、これは恒常的・計画的な支出のための制度ではなく、例外措置とされている。

  • 当初予算が不足した場合
  • 予測できなかった新たな支出ニーズが発生した場合
  • 緊急時にコンティンジェンシー基金から資金を引き出す場合

(佐藤丈治)

(ケニア)

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