台湾、発電用LNGを4割超の大幅値上げ、LPGは据え置き

(台湾、中東)

調査部中国北アジア課

2026年04月06日

台湾経済部傘下の公営エネルギー会社、台湾中油(CPC)は3月31日、2026年4月の液化天然ガス(LNG)および液化石油ガス(LPG)の価格調整を発表した。2月28日に勃発した米国とイランの武力衝突により、国際的なLNGスポット価格が直近3年間で最高値を記録するなど、エネルギー調達コストや海上運賃が急騰していることを受けた措置だ。

今回の発表によると、CPCは利用対象に応じて価格対応を明確に区分した。

(1)LPG全般および家庭・商業用LNG:物価安定を最優先し価格据え置き

家庭用LPG(ボンベ入り)、工業用プロパン、ブタン、プロパン・ブタン混合ガスおよび自動車用LPGのほか、家庭用LNG(都市ガス)については、一般家庭や飲食業などの利用者に配慮し、生活負担軽減のため価格を据え置く。LPGについては、4月2日から実施される貨物税(物品税)50%減税措置を適用してもなお、1キロ当たり10.5台湾元(約47円、1台湾元=約4.5円)のコスト増が生じているが、この差額はCPCが吸収する。

(2)工業・発電用LNG:価格を引き上げ

一方で、工業用および発電用燃料として供給されるLNGについては、工業用が5%、発電用にいたっては41.58%といった大幅な値上げに踏み切った。CPCは、工業用LNGにおいて2021年から2026年1月までに累計1,300億台湾元を超えるコストを吸収してきたが、記録的な価格高騰を受け、産業界の負担能力を慎重に評価した上で、一部の価格転嫁は避けられないと判断した。

2026年3月下旬のガソリン・軽油価格の引き上げ(2026年3月25日記事参照)に続き、エネルギー価格の高騰が続いている。台湾当局は、今回の一連の価格調整において、生活インフラへの打撃を抑えるべく民生部門(家庭・商業・サービス業など)の価格据え置きを優先しつつ、工業・インフラ部門(工場や発電所向けLNG)にコスト負担を求めた。特に、発電用LNGについては大幅な価格引き上げが行われたことから、将来的には電気料金引き上げというかたちで、企業や一般市民に中東情勢の不安定化に伴うコスト増が間接的に添加される可能性も否定できず、動向を注視する必要がある。

(藤本海香子)

(台湾、中東)

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