台湾中油、ガソリン・軽油価格を引き上げ

(台湾、中東)

調査部中国北アジア課

2026年03月25日

台湾の公営企業であり最大の石油会社である台湾中油(CPC)は3月21日、23日午前0時から(現地時間)、ガソリン価格を1リットル当たり1.8台湾元(約9円、1台湾元=約5円、以下、元)、軽油価格を1.4元引き上げると発表した(注1)。

CPCは3月14日にガソリン・軽油の価格据え置きを発表していたが、イランによるペルシャ湾周辺国のエネルギー施設への攻撃拡大や、ホルムズ海峡封鎖の継続によって国際原油価格が大幅に上昇したことを受け、今回の引き上げに至ったとしている。変動原油価格制度に基づくと本来の値上げ幅はガソリンが15.0元、軽油が16.9元となるが、当局は域内物価の安定とCPCの財務状況を考慮し、特別安定化メカニズムの吸収率を60%から75%に引き上げるとした。それにより、最終的に当局とCPCでガソリン13.2元・軽油15.5元を吸収することとなった。

このほか、経済部は23日に「中東紛争が域内の石油化学原料および下流製品に与える影響」についての会議を開催した。半導体製造工程に必要なヘリウムや石油化学原料、下流製品の供給と価格変動に対して、物資監視と対応メカニズムを起動するとし、市民や企業に対して安心するよう呼びかけた。ポイントは次のとおり。

(1)ヘリウム供給:これまで価格面から主にカタールから輸入してきたが、域内の主要3ガス供給業者によると、現在は米国からの代替輸入が可能で全体の供給量は問題ない。また、2021年のヘリウム不足の経験から、域内の半導体大手企業は循環回収システムを構築しており、供給の強靭(きょうじん)性向上に寄与している。

(2)石油化学原料:中東からの輸入に依存しているメタノール、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの材料について、経済部は積極的に業者による代替輸入先の開拓を支援している(注2)。

(3)一般プラスチック製品:現在、小売りチャネルの在庫は十分であり、供給は正常である。市場要因により生産を減らしていた一部のプラスチック包装材業者(プラスチック袋、ラップ、容器など)については、経済部がその生産ラインの能力に問題ないことを確認しており、市場の需要に応じていつでも生産再開できるよう業者と調整し、民生サプライチェーンの安定を確保している。

なお、行政院は3月18日の物価安定対策チーム第2回臨時会議で、中東情勢が世界のエネルギーや物価に与える影響に対応するため、4月から液化石油ガス(LPG)の物品税を50%減税(20キロ入りガスボンベ1本当たり6.9元の減税)するという新たな措置を決定し、2026年の消費者物価指数(CPI)上昇率を2%以内に抑える目標を堅持するとした(注3)。

(注1)参考小売価格は、92無鉛ガソリンが1リットル当たり28.9元から30.7元に、95無鉛ガソリンが30.4元から32.2元に、98無鉛ガソリンが32.4元から34.2元に、スーパー軽油が28.1元から29.5元となる。

(注2)例えば、メタノールは米国、マレーシア、ブルネイなどからの供給に切り替えることで供給リスクを分散しているほか、域内業者の余剰在庫を把握し、必要に応じて企業間の調整を適時行うとした。

(注3)同会議のポイントとしては、エネルギー供給情報を即時に提供しガソリン・軽油価格の安定化に努めることや、肥料の供給確保と農漁業用燃油の補助金措置により農家の生産コストを軽減すること、生活必需品の価格監視を強化し不当な買い占めや価格高騰を防止することなどが示された。また、住民の関心が高い公共交通については、交通部が会議で公共交通運賃の据え置きを発表した。

(江田真由美)

(台湾、中東)

ビジネス短信 7ae3ba5bdec7d514