イスラエルはレバノン空爆と交渉を並行、米国とイランは高官協議へ

(イスラエル、米国、イラン、レバノン、パキスタン)

テルアビブ発

2026年04月10日

米国とイランが4月8日(中東現地時間)に2週間の停戦で合意(2026年4月8日記事参照)した後も、中東情勢は引き続き不安定な緊張局面にある。イスラエル政府は、停戦は米・イラン間に限定されるとの立場を維持し、4月8日から9日にかけてレバノン各地で空爆を実施した(2026年4月9日記事参照)。

こうした軍事行動と並行して、イスラエル首相府は4月9日に声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が、レバノン南部に拠点を置くヒズボラの武装解除と国境の安定化を目的にレバノンとの直接交渉を可能な限り早期に開始するよう内閣に指示したと明らかにした。交渉の主な議題は、ヒズボラの武装解除のほか、イスラエルとレバノンの平和的関係の確立とされる。ネタニヤフ首相は、レバノン首相が打ち出したベイルート非武装化の呼びかけについて、前向きな動きとして評価した。

米国のドナルド・トランプ大統領は4月9日に自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、米国の艦艇、航空機、軍人は、停戦に基づく「真の合意」が完全に履行されるまで、イランおよび周辺地域に引き続き展開すると語った。必要な弾薬や装備も引き続き配備するとし、合意が守られない場合には、前例のない規模と強度で軍事行動が再開される可能性にも言及した。一方で、合意の核心は一貫しており、「核兵器を保有させないこと」と「ホルムズ海峡を開放し、安全で妨害のない状態に維持することだ」と強調した。さらにトランプ大統領は、イランがホルムズ海峡を通過するタンカーに通行料を課しているとの報道に言及し、事実であれば即時中止すべきだと警告した。

画像 米軍のイラン周辺での展開継続に関するトランプ米大統領のSNS「トゥルース・ソーシャル」でのコメント画面(トゥルース・ソーシャルのトランプ大統領の公式アカウントより)

米軍のイラン周辺での展開継続に関するトランプ米大統領のSNS「トゥルース・ソーシャル」でのコメント画面(トゥルース・ソーシャルのトランプ大統領の公式アカウントより)

これに対し、イランの最高指導者モジタバー・ハーメネイー氏は4月9日に書面声明を発表し、ホルムズ海峡の管理を「新たな段階に引き上げる」と表明した。同海峡はイランの正当な権利であり、国益に直結する重要な戦略拠点であると強調した(4月9日付「タイムズ・オブ・イスラエル」紙)。

こうした中、米国とイランは4月11日にパキスタン・イスラマバードで停戦後初となる高官級協議を開始する予定。「アルジャジーラ」(4月9日付)によると、米国側はJ.D.バンス副大統領が代表団を率い、スティーブ・ウィトコフ米大統領特使、ジャレッド・クシュナー氏が同席する見通しだ。イラン側はモハンマド・バーゲル・ガリバフ国会議長とアッバース・アラーグチー外相が代表団を主導するとされており、停戦の恒久化と地域情勢の安定に向けた交渉の行方に注目が集まっている。

イスラエルの軍事衝突の関連情報は、イスラエルとハマスの衝突の特集イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報を参照。

(中溝丘)

(イスラエル、米国、イラン、レバノン、パキスタン)

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