シンガポール、中東情勢悪化で電力料金が第3四半期以降に急上昇の見通し
(シンガポール、中東)
シンガポール発
2026年04月02日
シンガポールのエネルギー市場監督庁(EMA)は3月31日、中東情勢の悪化に伴い、電力料金や都市ガス価格が第3四半期以降、急上昇する可能性を指摘した。中東における原油や天然ガス生産が戦争による打撃を受けていることから、燃料価格の上昇が当面続くとの見通しだ。
地場電力・ガス会社のSPグループは同日、第2四半期(4月1日~6月30日)の家庭向け電力料金を1キロワット時(kWh)当たり27.27セント〔約34円(物品・サービス税抜きの価格)、シンガポール・ドル(Sドル)、1Sドル=約124円〕、前期と比較して2.1%引き上げると発表した。同グループは四半期ごとの電力料金を、前期の最初の2カ月半のエネルギー価格を反映するかたちで設定している。第2四半期の電力料金は1月1日~3月15日の天然ガス価格を反映したものだ。中東情勢による天然ガス価格の上昇が始まったのが2月28日以降であるため、第2四半期の電力価格への反映は限定的だとしている。しかし、第3四半期以降には電力料金が急上昇すると見込まれている。
同国における発電燃料構成をみると、2025年6月時点で、天然ガスが93.1%を占める。ストレーツ・タイムズ紙(3月15日付)によると、タン・シーレン人材相兼エネルギー・科学技術担当相は3月15日に自身のフェイスブックに投稿した動画で、同国が輸入する天然ガスの約半分が海底パイプラインを経由するものであるため(注)、中東情勢が悪化してもエネルギー調達への影響がないと説明していた。残り半分についても安全保障上の理由から、中東に加え、オーストラリア、米国など調達先を多角化している。
中東情勢を受け、SAF税導入を延期へ
一方、民間航空庁(CAAS)は3月25日、持続可能な航空燃料(SAF)税の徴収開始時期について、当初予定していた2026年10月1日以降から、2027年1月1日以降の出発便へと延期すると発表した。SAF税の導入の延期は、中東情勢を受けた航空会社や乗客への影響を考慮した措置としている。運輸省は航空業界の脱炭素化のため、2026年中に航空燃料の1%をSAFとするとともに、SAF調達のため同年10月からSAF税を導入する計画だった(2026年1月27日付地域・分析レポート参照)。
(注)シンガポールは隣国のマレーシアとインドネシアから海底パイプラインで天然ガスを輸入している。
(本田智津絵)
(シンガポール、中東)
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