欧州産業界、EUにエネルギー効率最適化推進を要請、域内産業・技術活用を訴える

(EU、中東)

ブリュッセル発

2026年04月23日

欧州機械・電気・電子・金属加工産業連盟(ORGALIM)など33の産業団体は4月15日、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長宛ての共同書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、EUの産業・技術力を活用し、直ちに大規模展開が可能な方策を特定した上で、迅速かつ調和のとれたエネルギー危機対策の実施、推進を要請した。また4月13日に同委員長が示したエネルギー価格高騰への対応方針(2026年4月17日記事参照)で、エネルギー効率を中核に位置付けたのを歓迎し、あらゆる産業エコシステムで、効率化を進めるよう促した。

33団体は、地政学的緊張の高まりとエネルギー価格の高騰により、EUは深刻な規模のエネルギー危機に陥り始めていると指摘し、一次エネルギーの約57%を輸入で賄うEUにとって、エネルギー効率の最適化は危機対応の第一歩と述べた。また、EU製造業のエネルギー利用は2000年比で25%減ったが、付加価値は50%増加しており、エネルギー利用を抑制しながらも、経済成長は可能と訴えた。

またエネルギー効率を向上させる技術はすでに存在し、かつその多くは欧州域内で開発されており、原材料不足の影響は限定的であると指摘。同技術を各EU加盟国に産業横断的に展開することによって、大幅な需要削減、システムの最適化、需要の柔軟化とコスト軽減に資すると同時に、投資回収期間も短いと主張した。さらにエネルギー集約型産業には的を絞った長期的な産業戦略が必要である一方、現時点でも関連技術の活用により、産業用熱需要の約6割を電化することが可能であると指摘。2035年には新興技術の活用により、その割合は9割に達する可能性があるとした。エネルギー需要削減に資する施策・技術の活用は、より早く、かつ安価な電化を実現する鍵であり、EUの輸入化石燃料への依存低減やエネルギー安全保障の強化に必須であるとし、経済的にも合理的であると訴えた。

また、エネルギーとつながりが深い分野である水資源活用にも同時に対応が必要と言及し、エネルギー生産や製造工程での水利用の効率化と同時に、取水や水資源管理のエネルギー効率を高めることも重要とした。

その上で、欧州委による具体的な対策の策定に向け、産業界が部門横断的かつ迅速に展開可能なエネルギー効率化に向けた手段の特定を支援する用意があることを表明した。その実現には、特に現行の関連法令の完全かつ早期の実施に加え、各産業部門における許認可や財政支援を迅速に進めることが必要とした。

(滝澤祥子)

(EU、中東)

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