香港の2026年度予算案の方針説明、「AI+」と「金融+」で産業高度化や北部都会区開発を加速
(香港、中国)
香港発
2026年04月03日
香港特別行政区政府の陳茂波(ポール・チャン)財政長官は3月13日、香港経済界との昼食会の場で2026年度予算案に関する方針について説明した。なお、同予算案は2月25日に立法会に提出されている。
陳財政長官は、中国の第15次5カ年(2026~2030年)規画(以下、同規画)の綱要(2026年3月11日記事参照)を踏まえ、2026年度予算案の柱として「AI+」と「金融+」を掲げ、産業高度化とイノベーション推進、北部都会区(Northern Metropolis)開発を加速するとした。
うち、「AI+」については、「AI+産業発展戦略委員会」を設立し、ライフ・ヘルステクノロジーとエンボディド(身体性を持つ)AI(人工知能)を重点分野に位置付ける。広東省・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)に蓄積された研究開発・高度製造の基盤を活用し、研究開発や事業化を推進する。併せて「AI Training for All(社会全体を対象としたAI教育)」を通じ、児童から社会人まで幅広い年齢層を対象としたAIリテラシー向上策を展開し、産業横断でのAIの活用と人材のリスキリングを図る。
「金融+」では、香港投資管理(HKIC)を通じて先端産業など長期投資分野への出資を継続する。研究開発からスケールアップまでを支える資金拠点としての機能強化を狙う。HKICはこれまで190件超のプロジェクトに投資し、投資先の企業のうち10社が上場済み、2026年にはさらに約20社の上場が見込まれると説明。また、HKICが投資した1香港ドル(約20.2円)ごとに、8香港ドル超の長期資本が呼び込まれているとした。
このほか、北部都会区では、河套香港園区、新田科技城(San Tin Technopole)、洪水橋産業パークなどにそれぞれ100億香港ドルを注入し、インフラと産業パークの整備を加速する。大学タウン向けに融資枠100億香港ドルを設ける。開発に当たっては、大規模な土地供給プロジェクトを順次進めるとともに、開発加速に向けた特別立法を導入する。デベロッパーとテック企業の連携による共同開発提案も奨励する。
陳財政長官は、これらの施策を通じて、同規画が推進する方向性と積極的に整合を図りつつ、「一国二制度」の下で香港が有する国際金融センターとしての役割や、独自の法制度、データ保護環境といった強みを発揮し、AIと金融を軸とする新たな成長エンジンを構築していく考えを示した。
(中岡菜々子)
(香港、中国)
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