オーストラリア、エネルギーの安定供給に向けシンガポールとの新たな共同声明を発表
(オーストラリア、シンガポール、中東)
シドニー発
2026年04月15日
オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相と、シンガポールのローレンス・ウォン首相は4月10日、両国間の精製石油製品および液化天然ガス(LNG)の安定供給を念頭に、経済強靭(きょうじん)化と重要物資に関する共同声明を発表した。
同声明は、2026年3月23日に発表された両国間のエネルギー供給の維持に関する共同声明(2026年3月26日記事参照)から、さらに踏み込んだものだ。互いのニーズを満たすため、「最大限の努力」を約束し、ルールに基づく多国間貿易体制の推進に向けた協力強化にも言及している。また、両首脳はそれぞれの担当大臣に対し、シンガポール・オーストラリア自由貿易協定(SAFTA)の枠組みの中で、同声明に沿った「経済強靭化と重要物資に関する法的拘束力のある議定書」の締結を指示したと明らかにした。併せて、両国の高官が共同議長となる「オーストラリア・シンガポール経済強靭化対話」の設立や、両国閣僚級によるエネルギー対話の開催にも言及し、これらの機会を通じて、同議定書の締結に向けた議論が進むと見込まれている。
同声明発表時の共同記者会見で、ウォン首相は「われわれは、精製石油製品の輸出を制限する計画はない」と明言した。また、国内発電量の約95%を占める天然ガスの調達について、2025年5月に設立した国営企業シンガポール・ガスコ(Gasco)による国内発電会社向けの天然ガスの調達、輸入、供給の一元管理の手法を説明した。その中で、国内発電会社からの需要集約によるスケールメリットや、サプライチェーン全体の効率的なリスク管理を通じ、長期の天然ガス調達の契約を試行する。また、その調達先としてオーストラリアが有力な候補であるとした。
シンガポール訪問を終えたアルバニージー首相は、4月14日から17日にかけて、同じく重要な燃料・肥料供給国であるブルネイ、マレーシアを訪問し、重要物資の貿易について協議する予定だ。オーストラリア連邦政府は、5月中旬までの燃料供給は確保されていると明言しているものの、その先の安定供給は不透明とし、東南アジア各国との連携強化が重要な対応策とされている。また、オーストラリア国内では4月13日、連邦政府が2,000万オーストラリア・ドル(約22億4,000万円、豪ドル、1豪ドル=約112円)を投じ、燃料節約に向けた広告キャンペーン「Every little bit helps」を開始した。テレビやデジタルメディアを通じて、公共交通機関の利用促進を宣伝しており、内外の両面からこの難局を乗り切る方針とみられる。
(渡部卓人)
(オーストラリア、シンガポール、中東)
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