米FRBは3会合連続で政策金利を据え置き、声明文の「緩和バイアス」に複数の理事から異論

(米国)

ニューヨーク発

2026年04月30日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は4月28~29日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、大方の市場予想どおり政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を3.50~3.75%に維持することを決定し、3会合連続で金利を据え置いた(添付資料図参照)。

スティーブン・ミラン理事が0.25ポイントの利下げを主張して反対票を投じた点は前回と同様だが、これに加え、ベス・ハマック・クリーブランド連銀総裁、ニール・カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、ローリー・ローガン・ダラス連銀総裁の3人がインフレ警戒を重視するタカ派的な観点から今回の決定に反対した。この反対は、今回の政策金利の水準に関するものではなく、声明文における今後の金融政策の方向性の記載に関して、「緩和バイアス」(注1)が引き続き盛り込まれている点を問題視したもの。前回会合でも、金融政策のフォワードガイダンス(金融政策運営の方向性についてのコミュニケーション)として発信する内容に関し、「利上げの可能性も含めて声明文に記載すべき」旨の意見があったことがFOMC議事録外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで判明しており、今般のイラン情勢を踏まえたエネルギー価格などの上昇を受けて、こうした意見がより多くの者から明確に表明されたかたちだ。

今回発表された声明文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの前回からの主な変更点は、(1)国際市場におけるエネルギー価格の上昇を受けてインフレ率が上昇していると明示したこと、(2)中東情勢が「高いレベルで経済の見通しに不確実性を与えている」として前回よりもさらに警戒感を高めたことの2点だ。いずれも、インフレリスクの高まりへの警戒感を反映している。

FOMC後の記者会見における質疑でも、上述の「緩和バイアス」が維持された理由や、インフレの捉え方について質問が集中した。これに対し、ジェローム・パウエル議長からは、前者について、(1)中東情勢の推移やこれが米国経済に与える影響については情勢を見守っており、現時点でフォワードガイダンスの変更が必要かという点についてコンセンサスには至らなかったこと、(2)他方で、ガイダンスの変更は市場に対して大きなシグナルとなることが懸念されたこと、の2つを要因として挙げている。後者については、関税引き上げの影響が想定どおりフェードアウトするか否かという点とともに、中東情勢がガソリンや航空運賃以外にどの程度拡大していくのかにも注目していく必要がある旨を回答している。

なお、本会見ではパウエル議長から、5月15日までの議長としての任期満了後の自身の進退(注2)についても言及があった。この中では、(1)ケビン・ウォーシュ元FRB理事を次期FRB議長として指名する人事案を上院銀行委員会が承認し、事実上、就任が決定的となったことを受け、今会合を最後に、議長職を退く予定であること、(2)他方で、FRB本部の改修費をめぐる司法省の捜査(2026年1月29日記事参照)が完全に終了するまで見守る意向であり、議長退任後も一定期間理事として活動を続けること、が表明された。

(注1)ここでいう「緩和バイアス」とは、FRBが引き続き、利下げサイクルを継続する可能性があると市場に受け取られやすい表現を指す。

(注2)パウエル議長は、議長退任後も2028年1月までFRB理事の任期を残している。議長の任期満了と同時に理事も退任することが近年の慣例となっているものの、理事にとどまり続けることも法的には可能であり、また過去に2つの前例もある。パウエル議長は、トランプ政権によるFRBに対する各種捜査を、金融政策の独立性に対する圧力と強く批判しており、FRBの独立性を守るという観点から理事として留任する可能性を示唆していた。

(加藤翔一)

(米国)

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