ADBと世界銀行が2026年のラオス経済見通しを発表、エネルギー急騰でインフレ率の上昇を予測

(ラオス、中東)

ビエンチャン発

2026年04月13日

アジア開発銀行(ADB)は4月10日、「アジア開発経済見通し2026」を発表した(注1)。同レポートによると、2025年のラオス経済は、過去数年にわたる深刻な危機局面から脱し、マクロ経済の安定化に向けて顕著な進展を示した。実質GDP成長率は4.4%に達し、サービス業、発電業、建設業が成長を牽引した。とりわけ、サービス業は5.2%成長し、タイや中国などからの外国人観光客の増加を背景に、入国者数は前年比11.2%増の460万人に拡大した。また、中国ラオス鉄道の利用拡大などを受け、物流・輸送サービスも10.3%と大幅に伸長した。

マクロ経済の安定化の面では、インフレ率の急激な低下がみられた。緊縮的な財政・金融政策の下、年平均インフレ率は2023年の31.2%から2025年には7.7%まで沈静化した。下落が続いていた現地通貨キープも、対米ドルで0.6%の小幅な上昇(キープ高)となり、為替の安定はインフレの抑制に大きく寄与した。対外的な支払能力を示す外貨準備高も、観光収入や電力輸出の堅調さに加え、主要債権者による債務返済猶予を背景に、2025年末には35億ドル(輸入の4.2カ月相当)まで回復した。一方で、公共・公的保証債務(PPG債務、注2)は依然として「持続不可能」とされる水準にある。2025年の対GDP比PPG債務残高は、前年の94%から82%に低下したものの、構造的な解決には至っていない。

ADBは、2026年の実質GDP成長率について、中東紛争(2026年4月7日記事参照)など外部リスクの高まりを受けて4.0%へ減速すると見込む。最大の懸念材料としてエネルギー価格の急騰を挙げ、燃料価格や電気料金の上昇に加え、公務員給与の引き上げも影響し、インフレ率は2026年に9.8%まで再上昇すると予測した。

さらに、世界銀行が4月8日に公表した「東アジア・太平洋経済アップデート(注3)」では、ラオスは中東紛争に対して機動的な財政・金融措置を講じる余地が極めて限定的だと指摘した。燃料価格高騰による国内消費の減退や外貨流動性の低下など、外的ショックに対する脆弱(ぜいじゃく)性の高さを背景に、ラオスの実質GDP成長率は2025年の4.5%から2026年に3.5%へ大きく鈍化すると予測している。

(注1)ADBの本レポートは3月10日までの情報に基づき、4月以降に混乱が緩和される早期安定化シナリオを想定している。なお、南アジア・中央アジアを含むアジア・太平洋新興国全体の成長率について、2025年は5.4%、2026年は5.1%と予測している。

(注2)英語でPublic and Publicly Guaranteed(PPG)debtという。中央政府の債務(対外公的債務と国内公的債務)と政府保証の国有企業債務が含まれる。

(注3)世界銀行の本レポートは、3月19日までの情報に基づき、2026年は外的ショックによる減速局面として分析している。ラオスを含む東アジア・太平洋地域の発展途上国全体の成長率は2025年の5.0%から4.2%へと減速すると予測している。

(山田健一郎)

(ラオス、中東)

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