米テキサス州で保守政治行動会議開催、イラン軍事衝突に多数賛同するも失望の声も
(米国、中東)
ヒューストン発
2026年04月03日
米国最大級の政治集会である保守政治行動会議「Conservative Political Action Conference、CPAC(シーパック)」が3月25~28日、テキサス州ダラス近郊グレープバインで開催された(注1)。
今大会では、これまで最終日の目玉演説を担ってきたドナルド・トランプ大統領が約10年ぶりに欠席したが、演説内容や議題は同氏の政策路線を前提とするものが中心となった。一方で、同氏の欠席は米国がイランへの攻撃を開始してから1カ月という緊張した局面に重なり、従来トランプ氏に忠誠的だった支持基盤の中に分裂を生じさせるものとメディアで指摘されている。
最大の争点は、米国による対イラン軍事行動だった。会場では多くの登壇者や支持者が大統領の判断を支持した一方、若年層の保守派や退役軍人の一部からは「外国での戦争を避けるという公約に反する」「国内経済や生活を優先すべきだ」との失望の声も聞かれた。イランとの軍事衝突を巡っては、保守派内部で世代間や立場による温度差が表面化している(注2)。
11月の中間選挙のノースカロライナ州連邦上院選の共和党候補マイケル・ワトリー氏〔元共和党全国委員会(RNC)委員長〕(2026年3月5日記事参照)が登壇し、トランプ氏の任期後半の支持を盤石にするためにも中間選挙で共和党が勝利すべきと述べた(NPR3月28日)。
CPACは従来、ワシントンD.C.近郊で開催され、政策関係者やロビイスト、連邦議会関係者が集う場として機能してきた。しかし、2020年代のトランプ政権期以降、フロリダやテキサスといった保守色の強い州が選好されている。大会開催地の変化は、首都において政策専門家や無党派層、メディアに訴える政策形成を重視する姿勢から、共和党支持者や活動家を直接動員し、党の価値観や文化的アイデンティティーの確立を優先する戦略へと転換したことを示唆している。
3月28日に発表されたCPAC参加者を対象にしたストローポール(非公式世論調査)では、J.D.バンス副大統領が53%の支持を得て首位となった。ただし支持率は前年の61%からやや低下した。一方、マルコ・ルビオ国務長官は35%を獲得。2025年の3%から大きく伸ばしており、2028年大統領選に向けた有力候補として存在感を高めている。
(注1)特にテキサス州は、規制の緩さや大規模会場の確保の容易さといった実務面の利点に加え、移民対策や保守的社会価値を重視する州として、共和党支持層の象徴的な存在となっている。開催地をテキサスに置くこと自体が、草の根支持者やMAGA(米国第一)層を重視するメッセージとなり、無党派層への説得よりも、確実な支持基盤の動員を優先する戦略を映し出している。
(注2)テキサス州鉄道委員(Railroad Commissioner)選に共和党から立候補しているボー・フレンチ氏が、「Don’t Sharia My Texas(テキサスにシャリーア法を持ち込むな)」と題したパネル討論で、極めて強硬な反イスラム発言をするとともに、米国から最大1億人を国外退去させるべきだと主張し、波紋を呼んだ。これは米国人口の約3分の1に相当し、2023年時点で過去最多となった不法移民数(推計約1,400万人)を大幅に超え、米国籍を持つ市民も含まれる規模となる。シャリーア法とは、イスラム教の教えに基づき、信仰や倫理、生活全般の指針を示す宗教的規範。カリフォルニア州のリベラルな政治・文化・規制を、保守的なテキサスに持ち込むな、という意味で使われる「Don’t California My Texas」にかけて、「外部の価値観や制度を自分たちの地域に持ち込むな」という排外的・防衛的スローガン。
(キリアン知佳)
(米国、中東)
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