AMRO、中東情勢を踏まえたASEAN+3の経済成長率予測を発表

(シンガポール、中国、香港、韓国、ASEAN、日本、中東)

シンガポール発

2026年04月07日

シンガポールにある国際機関「ASEAN+3マクロ経済調査事務局(AMRO)」は4月6日、ASEAN+3(中国・香港、日本、韓国)の実質GDP成長率(経済成長率)の予測を発表した(AMROプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、注1)。同地域全体の2026年の経済成長率は前年比4.0%との見通しを示した。2026年1月に発表した前回予測から据え置いた(2026年1月22日記事参照)。他方で、世界的にエネルギー価格が上昇する中で、インフレ率は1.4%と、前回予測(1.2%)から引き上げた。

ベースライン予測では、2026年2月下旬に始まった中東の地政学的情勢を反映し、2025年よりも高いエネルギー価格が織り込まれている。紛争の激化を受け、原油価格(ブレント)は1バレル当たり90ドルを超える高水準が数カ月続く。2026年後半には緊張が緩和し、供給情勢が安定するにつれ、原油価格は1バレル当たり75~85ドル程度に落ち着くと予想した。

AMROはベースラインに加え、(1)「制御不能な地域的拡大」と、(2)「抑制と緊張緩和」と題した2つのシナリオも策定。「制御不能な地域的拡大」シナリオでは、紛争により湾岸地域のエネルギーインフラが損なわれ、石油・ガス生産が深刻な打撃を受ける。船舶輸送の混乱も激化し、ホルムズ海峡の長期閉鎖を招く。これにより、石油・ガス市場における供給が大幅に減少する。原油価格は2026年末まで1バレル当たり100ドルを上回って推移し、金融情勢引き締めと、世界的な経済活動の著しい減速を見込む。同シナリオでは、ASEAN+3(注2)の2026年のインフレ率は2%を上回り、2022年以来の最高水準に達する一方で、経済成長率は3.7%に鈍化し、2022年以来の最低水準となる。

「抑制と緊張緩和」シナリオでは、紛争当事者が自らの目的が達成されたと判断し、紛争は抑制された状態が続き、紛争は比較的早期に緩和され、抑止が維持される。ホルムズ海峡を通る石油・ガスの輸送は、紛争発生から2カ月後に正常化する。原油価格は2カ月間1バレル当たり90ドル以上で推移した後、市場がリスク低下を織り込んだ後、年末にかけて平均70~80ドルまで落ち着くと見込む。同シナリオでは、2026年のASEAN+3(注2)のインフレ率は1.1%、成長率は4.1%と試算した。

(注1)東ティモールは含まない。

(注2)「制御不能な地域的拡大」と「抑制と緊張緩和」シナリオでは、ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマーを含まない。

(朝倉啓介)

(シンガポール、中国、香港、韓国、ASEAN、日本、中東)

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