2月の米小売売上高は前月比0.6%増も、イラン情勢緊迫化で先行きに不透明感

(米国、中東)

ニューヨーク発

2026年04月02日

米国商務省の速報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(4月1日付)によると、2月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.6%増の7,384億ドル(添付資料表参照)となり、ブルームバーグの市場予想(0.5%増)をわずかに上回り、3カ月ぶりに増加へ転じた。また、1月は同0.2%減(速報値、2026年3月10日記事参照)から0.1%減に上方修正された。ただし、今月の結果はイラン情勢の緊迫化前のものである点に留意が必要だ。

自動車・同部品や総合小売りなどが押し上げ要因に

業種別にみると、13業種のうち10業種で増加した。特に自動車・同部品は、前月比1.2%増の1,394億ドル(プラス0.22ポイント)となり、最大の押し上げ要因だった。記録的な寒波による前月の落ち込みからの反動のほか、個人向け減税に伴う税還付の増加の影響(注)が発現しはじめているとの指摘もある(ブルームバーグ4月1日)。そのほか、無店舗小売り(0.7%増)や衣料(2.0%増)、ガソリンスタンド(0.9%増)などが増加している。春物需要や外出機会の増加による実需の増加と価格上昇の双方が影響したものとみられる。また、小売り統計で唯一のサービス項目のフードサービスは、価格上昇の影響もあり、1月の0.2%減から0.4%増へと回復に転じた。

一方、住宅市場の低迷を背景に家具が1.0%減となるなど耐久財については、支出を選別している様子もみられる。食品・飲料も1.0%減と減少に寄与した。食品・飲料の落ち込みは、前月の悪天候に伴う買いだめの反動なども影響したとみられる。

今回の結果は、税還付のプラスの影響が一部に発現しはじめた可能性を示唆しており、今後数カ月間にわたり同様の下支え効果が継続する可能性がある。しかし、足元ではイラン情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の高騰が影を落としはじめており、こうしたプラスの効果が一部相殺される可能性もある。3月31日時点のレギュラーガソリンの全米平均価格は、2022年以来初めて1ガロン(約3.8リットル)当たり4ドルを突破し、4月1日時点では4.06ドルとなった。TDバンクグループのエコノミストのクセニア・ブシュメネワ氏は、これが3月の名目売上高を押し上げる半面、「消費者が燃料費の上昇分を補うために嗜好(しこう)品への支出を抑えるため、実質消費は打撃を受ける可能性がある。特に旅行やレクリエーションへの支出が最も削減されやすい分野だろう」と述べた。消費の先行きは、このほか賃金動向などによっても影響を受ける可能性があり、先行きには依然不透明感がある。

(注)2026年はトランプ政権下で成立した「大きく美しい1つの法案法(OBBBA)」の影響で税還付額が例年より高くなると予想されていた。

(樫葉さくら)

(米国、中東)

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