中東情勢悪化、LNG市場に短期・中期で影響、IEA報告書
(世界、中東、北米、アフリカ、欧州、アジア、カタール、アラブ首長国連邦、日本)
調査部中東アフリカ課
2026年04月28日
国際エネルギー機関(IEA)は4月24日、天然ガスに関する報告書「Gas Market Report Q2-2026」
を発表した。中東情勢の悪化に伴うホルムズ海峡の混乱により、世界の液化天然ガス(LNG)供給の約20%が一時的に市場から失われ、LNG市場の見通しが大きく変化したとしている。
報告書によると、2025年10月~2026年2月には、北米やアフリカでの新規液化施設の稼働を背景に、世界のLNG取引量は前年同期比で12%(290億立方メートル)増加した。これを受けて欧州とアジアの指標価格はともに前年同期比で約25%下落し、供給増を背景に価格は下落基調にあった。
しかし、中東情勢の悪化によって状況は急変した。3月はカタールとアラブ首長国連邦(UAE)からのLNG積み出しが大きく落ち込み、世界のLNG生産量は前年同月比8%(40億立方メートル)減少した。欧州とアジアでの指標価格は急騰し、市場の不確実性が高まる中、短期的な価格変動も拡大した。主要輸入国では、価格上昇や天候要因、需要抑制策などを背景に天然ガス需要が弱まり、欧州では3月の需要が前年同月比約4%(20億立方メートル)減少した。アジアでも複数の国が、供給危機を受けて燃料転換や需要抑制策を進めている。
報告書では、今回の危機は短期的な供給減少にとどまらず、カタールの液化設備への攻撃による被害(2026年3月10日記事参照)などを通じて、中期的な供給見通しも悪化させるとしている。これらを合わせると、2026年から2030年までのLNG供給損失は累計で約1,200億立方メートルに達すると現時点で見積もっている。IEAは、世界のガス供給安全保障体制の強化に向け、日本政府と共催する「LNG産消会議」などを通じて、国際協力を後押ししていくとする。
中東情勢悪化と世界各国の動きはジェトロ特集「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」を参照。
(天神和泉)
(世界、中東、北米、アフリカ、欧州、アジア、カタール、アラブ首長国連邦、日本)
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