米232条鉄鋼・アルミ関税の軽減措置発表、自動車やトラックの米国内生産向けカナダ・メキシコ産品が対象

(米国、カナダ、メキシコ)

ニューヨーク発

2026年04月28日

米国商務省国際貿易局(ITA)は4月23日、米国で生産する自動車、中・大型トラック、それらの部品(以下、自動車・トラック・同部品)に用いられる、1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム関税の軽減措置の導入を発表した。所定の条件を満たすカナダまたはメキシコの鉄鋼・アルミ製品を輸入する場合、商務省が定めた数量を上限に、232条関税が現状の50%から最大で25%まで引き下げられる。同日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公示され、軽減措置の利用申請の受け付けも開始された。

ドナルド・トランプ大統領は2025年10月に発表した大統領布告で、米国で生産する自動車・トラック・同部品に用いられる鉄鋼・アルミ製品をカナダまたはメキシコで生産する事業者を対象に、米国内での生産拡大を条件に関税軽減措置を講じる考えを示していた(2025年10月21日記事参照)。今回ITAが発表した軽減措置の対象製品や申請手続きの概要は次のとおり。

○軽減措置の適用条件

  1. カナダまたはメキシコで鉄鋼・アルミ製品を生産し、これらを直接的または間接的(部品用などとして)に米国の自動車・トラック・同部品生産者に供給していること。
  2. 今後、自動車・トラック・同部品向けの「一次鉄鋼・アルミ(primary steel/aluminum、注)」を米国内で新たに生産する計画があること。

○軽減措置の利用手順

  1. 事業者は、カナダまたはメキシコの生産拠点の概要や米国内での生産拡大計画など、上記の適用条件を満たすことを示す資料に加え、措置を利用する輸入業者に関する情報を、生産拡大計画ごとにメールで提出する(宛先:adjustment@trade.gov外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。
  2. 商務省は必要事項の記載の有無や、生産拡大計画の実現可能性などの観点から申請資料を審査する。
  3. 申請が認められた場合、商務省は軽減措置の適用条件(開始日、税率、数量、措置を利用可能な輸入業者などの情報)を、米国税関・国境警備局(CBP)に通知する。措置の対象数量は、各事業者の生産拡大計画で示された米国内での年間新規生産量に準じて設定される。
  4. 商務省からCBPへの通知以降、事業者は事前に指定した輸入業者を通じて、軽減措置を活用して米国に輸入できる。ただし軽減措置は、米国・カナダ・メキシコ協定(USMCA)に基づく特恵関税待遇の対象となる鉄鋼・アルミ製品の輸入にのみ限定され、かつカナダまたはメキシコで溶解・鋳造された鉄鋼または精錬・鋳造されたアルミに限られる。
  5. 軽減措置の対象決定後も、事業者は商務省に対して四半期ごとに生産計画や出荷状況の進捗報告義務が課され、未提出の場合は軽減されていた関税の遡及(そきゅう)請求などの罰則が課される可能性がある。

措置による米国内への生産拠点の移転に懐疑的な声も

カナダ・アルミニウム協会のジャン・シマール会長兼最高経営責任者(CEO)は、今回の発表について、アルミ生産コストの約40%は電力などエネルギーコストが占めており、その確保なしでは米国での新規の生産計画は「成立しない」と指摘した。関税軽減措置のみを要因に、米国内の鉄鋼・アルミの生産を拡大することに懐疑的な姿勢を示している(政治専門紙「ポリティコ」4月23日)。

(注)「一次鉄鋼」とは、米国内の酸素転炉や電気アーク炉、そのほかの製鋼炉で生産された鉄鋼製品を、「一次アルミ」とは、米国内の製錬所で生産されたアルミニウム製品を指す。

(滝本慎一郎)

(米国、カナダ、メキシコ)

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