イラク国民議会がクルド人の新大統領を選出

(イラク)

ドバイ発

2026年04月20日

イラク国民議会は4月11日、クルド人のニザール・モハメド・サイード・アミディ氏を大統領に選出した。同氏は元環境相で、クルド愛国同盟(PUK)のメンバー。2025年11月の国民議会選挙後(2025年11月27日記事参照)、大統領選出は難航していたが、約5カ月ぶりに決着を見た。

次は首相人事が焦点となる。憲法上、大統領は選出後15日以内に、国民議会最大会派が指名する首相候補に組閣を付託する。

首相人事をめぐっては、イラクの政治連合勢力「イスラム教シーア派調整フレームワーク(SCF)」が2026年1月にヌーリー・マーリキー元首相を候補として推す動きが報じられていた。米国側は反対姿勢を示し、ドナルド・トランプ大統領は同1月、自身のSNSにおいて、マーリキー氏が首相に指名されれば、対イラク支援を引き揚げる可能性があると警告した。SCFはトランプ大統領の反対を受けても、引き続きマーリキー氏の指名に向けて支援を行う旨を表明している(1月31日付「アルジャジーラ」)。

今回の大統領選出は、米国・イスラエルとイランとの間の衝突の影響下で行われた。イラク政府は、この紛争に対して関与を望まず、自国の領空・領土などが近隣国を標的とする軍事行動に用いられることも認めない立場を示している。一方で、イラク国内の親イラン民兵組織は在イラク米国大使館などを標的に攻撃を加えており、対抗措置として米国も親イラン勢力に対して空爆を行ったと報じられている(3月23日付「アルジャジーラ」)。また、イラクは国家歳入の約9割を石油収入に依存しており、イランによるホルムズ海峡の封鎖により、経済に大きな打撃を受けている。

イラクの政治運営は、「ムハササ」と呼ばれる非公式の権力配分慣行に基づき、慣例として大統領はクルド人、首相はシーア派、国民議会議長はスンニ派が務めるとされる。実権は首相に集中する一方、大統領は政権樹立手続きの起点となる。

(大野晃三、オマール・アル・シャメリ)

(イラク)

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