イラクで国民議会選挙、スーダーニー首相率いる復興開発連合が第1党に
(イラク、イラン)
ドバイ発
2025年11月27日
イラクで11月11日、2003年の政治体制の転換後6回目となる国民議会選挙が実施された。国民議会は大統領の選出や首相任命の承認を担う一院制議会で、定数は329議席、任期は4年、今回は2021年国民議会選挙以来の実施となる。今回の選挙でも、シーア派、スンニ派、クルド系など宗派・民族別の既成勢力が引き続き主要プレーヤーとなった。
11月17日にイラク独立高等選挙委員会(IHEC)が発表した最終結果によると、最終的な投票率は登録有権者の56%で、ムハンマド・シヤーウ・スーダーニー首相率いる復興開発連合が46議席を獲得し第1党となった(11月18日付ロイター)。復興開発連合に続き、同じシーア派政党ではヌーリー・アル・マーリキー元首相率いる法治国家連合が29議席、サーディクーン運動が27議席を獲得し、スンニ派政党ではタカッドゥム党が27議席、クルド政党ではクルディスタン民主党(KDP)が26議席を獲得した。定数329議席の中で、第1党が46議席獲得という状況で、いずれの勢力も単独過半数には届かないため、今後はシーア派、スンニ派、クルド勢力など様々な背景を持つ政党間での連立交渉が続く見通しだ。11月18日付ロイターでは、「政権樹立に向けた協議には数カ月を要する可能性がある」とも報じられている。治安情勢やエネルギー政策、公共サービス改善に向けた歳出拡大の持続可能性など、新政権の樹立ならびに政策運営は、今後のイラクの投資・ビジネス環境にも影響を及ぼしかねないという。
シーア派勢力である、スーダーニー首相率いる復興開発連合が勝利した選挙結果を受け、隣国イランは同首相陣営の勝利を歓迎する姿勢を明確にしている。11月15日付のイラン現地メデイアのタスニム通信の報道によると、イランのマースード・ペゼシュキヤーン大統領は11月14日、スーダーニー首相と電話会談を行い、今回の選挙結果を祝うとともに、次期政権において両国関係の一層の発展に期待を示したという。
(大野晃三、オマール・アル・シャメリ)
(イラク、イラン)
ビジネス短信 2883bad9ce4dbbb7




閉じる
