中東情勢悪化により、GCC諸国ではGDPの5.2~8.5%損失の可能性、UNDP報告
(中東、アフリカ)
調査部中東アフリカ課
2026年04月01日
国連開発計画(UNDP)は3月31日、中東経済に関する報告書「中東における軍事的緊張の高まり:アラブ諸国への経済的・社会的影響」を発表
した。同報告書によると、中東での軍事衝突の悪化は、アラブ諸国の構造的な脆弱(ぜいじゃく)性を浮き彫りにし、短期間の衝突であっても、地域全体に貿易・物流、エネルギー市場、資金フローなどを含む社会的・経済的な影響があるという。また、アラブ諸国はGDPの3.7%から6.0%に相当する1,200億~1,940億ドルの損失を被る可能性があると指摘した。
同報告書によると、経済的損失は湾岸協力会議(GCC)諸国やレバント地域(レバノン、シリア、イラク、ヨルダン、パレスチナ自治区)に集中しているとした。物流の混乱やエネルギー市場の変動などの影響により、生産、投資、貿易が大幅に減少し、GCC諸国ではGDPの5.2~8.5%、レバント地域では5.2~8.7%の損失を被るとの推計だ。
さらに、中東情勢悪化の影響として、2025年に同地域で新たに創出された雇用総数360万人と同規模の雇用が失われ、失業率が最大4ポイント上昇すると推定した。加えて、最大400万人が貧困に陥るとした。貧困率はレバント地域やスーダンやイエメンなどで上昇率が高く、北アフリカのアラブ諸国での影響は地域の中では少ないという。
また、UNDPは、この危機により同地域において財政や社会政策の見直しが求められ、同地域の発展・開発の転換点となる可能性があるとした。
なお、国連西アジア経済社会委員会(ESCWA)は3月19日、2月末以降の中東情勢の悪化から2週間ほど経過した時点で、アラブ諸国における1カ月の損失額は1,500億ドルと地域全体のGDPの3.7%相当に上る可能性があると推計していた。このような中、世界銀行は中東情勢悪化に関して、加盟国への支援を表明している(2026年3月31日記事参照)。
中東情勢は特集「イスラエル・米国とイランの衝突に関する中東情勢」も参照。
(井澤壌士)
(中東、アフリカ)
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