AI機会行動計画を公表、関連投資も相次ぎ発表
(英国)
ロンドン発
2025年02月05日
英国のキア・スターマー首相は1月13日、「AI(人工知能)機会行動計画(AI Opportunities Action Plan)」を発表した。経済成長やイノベーションの促進、公共サービス効率化の実現に向けたAIの活用手段を特定するため、英国政府は2024年7月にテック起業家のマット・クリフォード氏に同計画の策定を委託していた(2024年12月5日記事参照)。同計画に盛り込まれた主な提案は次のとおり。なお、スターマー首相は同日の会見で、これらを含む全ての提案について取り組むことを約束している。
- 国内の研究クラスター「AI研究リソース(AIRR)」の能力を2030年までに少なくとも20倍に拡大。AI向けのスーパーコンピュータの新設に向けた取り組みを開始
- AI向けデータセンターの建設計画承認の迅速化かつ合理化、およびクリーンエネルギーの供給の加速を進めるため「AIグロースゾーン」(AIGZ)を設立
- データへのアクセス改善に向け、国家データライブラリ(NDL)を設立
- AIインフラの持続可能性および安全保障のリスクを低減
- 科学・イノベーション・技術省(DSIT)内に政府デジタルセンターを設置。公的部門でのAI活用における変革を推進
- AI安全研究所(AISI)の補助金など、AIの安全性に関するツールの開発への投資を拡大
- 不足人材のギャップを特定、AI人材育成に向けた高等教育機関への支援増および、人材プールの多様性を拡大
このほか、AIに求められる計算能力については、公的機関向けのソブリン、国内企業のドメスティック、同志国との共同研究促進に向けたインターナショナルの3つに分類し、確保すべきとの提言もなされた。
スターマー首相は演説の中で、AI関連の投資案件についても言及。Nscaleが英国のデータセンターインフラの整備に向け今後3年間で20億ポンド(約3,820億円、1ポンド=約191円)を投じるほか、バンテージデータセンターも英国での事業拡大に120億ポンドを投資するとした。米国キンドリルもリバプールに投資を行うことを発表している。
(ワルダ・ホリー)
(英国)
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