ブラジル、原油高騰でディーゼル免税と輸出税を導入

(ブラジル、中東)

サンパウロ発

2026年03月18日

ブラジル政府は3月12日、中東情勢悪化に伴う国際原油価格の高騰(2026年3月9日記事参照)を受け、国内のディーゼル価格抑制を目的とした政令第12,875号および大統領暫定措置令(MP)第1,340号を公布した。ともに同日付で施行した。政令第12,875号により、ディーゼルに課される、連邦税の社会統合基金・公務員厚生年金(PIS/PASEP)および社会保険融資負担金(COFINS)は6月30日まで免税となる(注1)。また、MP第1,340号の主な内容は次のとおり。

(1)ディーゼルの生産者または輸入者に対し、1リットル当たり0.32レアル(約10円、1レアル=約30円)の助成金を交付する。実施期間は2026年12月31日までとしているが、総予算100億レアルに達した時点で同プログラムは終了する(注2)。

(2)石油および歴青油に対し、12%の輸出税を導入する(注3)。さらに、前述の助成金が実施されている期間中は、ディーゼルにも50%の輸出税を課す。ルイ・コスタ官房長官は3月12日付の「CNNブラジル」の取材に対し、本件の目的は国内市場での原油、歴青油、ディーゼルの供給確保にあると説明した。ブラジルは産油国である一方、国内の石油精製能力が不足しており、ディーゼルなどの精製燃料を輸入に依存する。そのため、原油高騰局面において原油の輸出を抑制し、国内での精製や供給へと振り向けることが、結果として国内の燃料価格や物価の安定に直結する。

ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は大統領府プレスリリース(3月12日付)の中で、「同政策により(ディーゼルで走行する)トラック運転手の負担軽減が見込まれる。また、豆類、レタス、タマネギなどの食料品価格の上昇抑制にもつながる」と述べた。また、フェルナンド・アダジ財務相は、「これらの措置はあくまで一時的な対応であり、現在の情勢が短期間で収束する見通しが立たない中で必要な措置だ」と強調した。

(注1)1998年の法律第9,718号によれば、ディーゼルにかかるPISは総売上高の4.21%、COFINSは19.32%と定められている。一方、2004年の法律第10,865号および政令第5,059号では、ディーゼルの生産者および輸入業者が、総売上高ではなく販売数量を基準とする従量税制度を選択できるとされている。この制度を選択した場合、PISとCOFINSは合計で1リットル当たり0.3515レアルとなる。今回の免除措置により、この従量税の税率はゼロとなった。なお、財務省によると、PISおよびCOFINSの免除により、精製所での販売価格は1リットル当たり0.32レアル程度低下すると見込まれている。

(注2)コンサルティング企業のストーンXブラジルは、2026年の国内ディーゼル需要を約600億リットルと予測している。この試算に基づく月間ディーゼル需要量(約50億リットル)を踏まえると、総予算100億レアル(約312億5,000万リットル相当)は約6カ月で上限に達し、2026年12月31日を待たずに9月ごろに早期終了する公算が大きい。また、3月上旬時点の消費者向けディーゼル(バイオディーゼル入り)平均小売価格(1リットル当たり約6.15レアル)に対し、0.32レアルの助成は約5.2%に相当する。

(注3)石油および歴青油に対する輸出税の実施期間は、MP第1,340号および政府が2026年3月13日に更新した貿易統合システム(SISCOMEX)上では明示されていない。

(エルナニ・オダ、中山貴弘)

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