日本とドイツの水素研究連携強化へ、ハンブルク大学と山梨大学が研究ハブ設立

(ドイツ、日本)

ベルリン発

2026年03月18日

ドイツ北部にあるハンブルク大学は3月9日、山梨大学と共同で「日欧クリーンエネルギー材料研究ハブ」の設立記念イベントを開催した。本ハブは、グリーン水素や合成燃料に関する研究で、日本と欧州の研究協力・人材交流・産官学連携を促す国際的研究コミュニティーの構築を目的としている。物理的な拠点ではなく、共同研究、産官学ネットワーク形成、若手研究者交流など、機能的な連携枠組みを構築することに重点を置く。

山梨大学と北部ドイツとの交流・連携は2022年から始まり、山梨大学が2024年度に「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」(注)に採択されたことも、本ハブ設立の後押しになったという。同大学はJ-PEAKSを通じてグリーン水素を軸とした国際研究拠点形成を進めており、日本・ドイツ間の学生・研究者交流や共同研究、国際会議での連携に関する発信を重ねてきた。

山梨大学はJ-PEAKSにおいて福島大学と連携している。福島県とハンブルク州は2026年1月に再生可能エネルギーや水素分野における連携に関する覚書を更新したところで(2026年1月26日記事参照)、福島大学を含めさらに多くの大学が本ハブに参画することも期待されている。

設立記念イベントは、ハンブルク大学のティロ・ベーマン副学長と山梨大学のマオ・シャオヤン副学長による開会あいさつで始まった。続いて、戸田真介・駐ハンブルク日本総領事が祝辞を述べ、本ハブは日本とドイツが共有する基本理念の下で協力を深化させる重要なマイルストーンになると述べた。その後、山梨大学の柿沼克良教授がJ-PEAKSにおける同大学の取り組み概要を紹介し、ハンブルク大学のメサップ・オザスラン教授が本ハブ設立までの経緯や今後のロードマップについて説明した。

写真 設立記念イベントの様子(ジェトロ撮影)

設立記念イベントの様子(ジェトロ撮影)

基調講演では、川崎重工業が欧州における水素事業の取り組みを説明し、ダイムラートラックおよびハンブルク港との液化水素のサプライチェーン構築に向けた連携事例などが紹介された。続くパネルディスカッションに登壇した岡本繁樹ジェトロ・ベルリン事務所長は、水素社会の実現に向け2カ国の連携が必要不可欠であると語り、本ハブが日本とドイツの産官学の連携促進の中心的役割を担うことに期待を寄せた。

写真 パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

(注)文部科学省の事業で日本学術振興会が運営し、地域の中核大学や研究の特定分野に強みを持つ大学が、他大学との連携などを図りつつ、研究活動の国際展開や社会実装の加速などにより、研究力強化を図るための環境整備を支援する制度。

(中山裕貴)

(ドイツ、日本)

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