チリ経済は原油高で減速の見通し、インフレは再加速へ

(チリ、中東)

サンティアゴ発

2026年03月26日

チリ中央銀行は3月25日、2026年最初の金融政策報告書(IPoM)を公表し、中東情勢を背景とした原油価格の高騰が国内経済に強い圧力を与えている、と指摘した。原油は1バレル100ドル前後に急上昇し、国際的な輸送・生産コストの上昇が国内燃料価格に波及した。政府が3月23日に燃料価格安定化メカニズム(MEPCO)による価格緩衝の大幅縮小を発表し、それによりガソリンやディーゼルの市場価格の上昇が見込まれることから(2026年3月25日記事参照)、インフレは第2四半期から年率約4%へ再加速する見通しとなった。2025年まで続いていた物価沈静化の流れは一時的に反転することになる。

チリ中央銀行は、2026年のGDP成長率見通しを2.0~3.0%から1.5~2.5%へ下方修正した。原油高による実質所得の低下、鉱業部門の生産減少、さらに政府が発表した38億ドル規模の財政支出削減が内需の足かせになるためだ。一方で、人工知能(AI)・エネルギー転換需要を背景とした銅価格の堅調推移や実質労働所得の改善が部分的な下支えになる、と分析している。

ロサンナ・コスタ中央銀行総裁は上院財政委員会で、「現在の中東情勢はエネルギー市場に大きな衝撃を与え、チリにとっても燃料価格上昇を通じて短期的なインフレ圧力を高めている」と述べた。また、「チリ経済は過去の危機時より強固なマクロ基盤を有するが、外部ショックの規模を踏まえれば慎重な政策運営が必要」と指摘し、為替・資本フローに及ぼす影響を注視する姿勢を示した。

金融政策では、政策金利(MPR)を4.5%で据え置いた。中東情勢の展開次第では燃料価格がさらに上昇し、インフレ圧力が強まる可能性があるとして、会合ごとに情勢を精査しつつ対応するとした。中央銀行は、外部環境の急変による国内経済への影響を注視し、インフレ率を2027年に3%へ戻す目標の達成に向け必要な措置を講じる方針をあらためて表明した。

(橋爪優太)

(チリ、中東)

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