米FRB、2会合連続で政策金利を据え置き、今後の金融政策に対する見解の隔たりは依然大きい
(米国)
ニューヨーク発
2026年03月19日
米国連邦準備制度理事会(FRB)は3月17~18日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、大方の市場予想どおり政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を3.50~3.75%に維持することを決定した(添付資料図参照)。2会合連続の据え置きとなる。今回の決定に対しては、スティーブン・ミラン理事のみが0.25ポイントの利下げを主張して反対票を投じた。
今回発表された声明文
の前回からの主な変更点は、(1)2月の雇用統計の結果などを踏まえ、失業率に関する表現を「この数カ月ほとんど変化していない」として前回の「安定化の兆しを示している」から下方修正、(2)経済の先行きに関し中東情勢が米国経済に与える影響は不透明であることを追記、の2点だった。
今回は、四半期に一度のFOMC参加者の経済見通しも合わせて示されている(添付資料表参照)。参加者の予測中央値でみると、実質GDP成長率は2026年が2.4%(前回2.3%)、2027年が2.3%(前回2.0%)、2028年が2.1%(前回1.9%)、長期が2.0%(前回1.8%)といずれも上方修正された。長期も含めわずかながら楽観的な見通しをする者が増加したかたちで、ジェローム・パウエル議長はFOMC後の記者会見で、生産性への上昇に対する確信が高まったことが要因ではないかとの見方を示している。失業率については前回とほとんど変更がなく、2027年が4.3%(前回4.2%)となった程度だ。物価(インフレ率)については、2026年はPCE(2.7%、前回2.4%)、コアPCE(2.7%、前回2.5%)ともに上方修正されており、現在の原油高が影響しているもようだ。政策金利については、前回から中央値自体には変更がなかった。2026年はコア指数を含めインフレ予想が上振れる一方、失業率や成長率の見通しに変化がなかった。
それにもかかわらず、なぜ前回から利下げ幅に変更が見られないのかという記者からの問いについて、パウエル議長からは、(1)個々の予想(注)をみると、利下げ幅を12月時点の2回分から、今回は1回分に縮小した参加者が複数存在しているなど、全体としてはインフレリスクが前回よりも意識されていること、(2)基本シナリオとしては2026年半ばごろから関税由来のインフレ圧力が和らぎ、インフレ抑制に向けた進展も期待できること、などが影響しているとの見解が示された。逆に、関税由来の財インフレが剥落するとともに、住居費の伸びも低下し、それ以外のサービスの伸びも低下するといったFRBの想定するシナリオが着実に進展しない場合には、利下げ再開は難しいとも述べた。また、前回のFOMC
では、一部の参加者から、インフレ率が目標である2%を上回る水準が続く場合には、利上げが適切になる可能性がある旨の指摘があったことが判明しているが、今回も同様の議論が行われたもようだ。今後の金融政策をめぐる参加者間での隔たりは依然として大きく、先行き不透明感が当局者の間でも強いことがあらためて確認されたかたちだ。
なお、FOMC後の記者会見では、中東情勢が米国経済に与える影響について、インフレリスクや消費・労働市場への影響などさまざまな観点から質問がなされている。これに対し、パウエル議長はさまざまな影響が発生する可能性は認めつつも、現時点ではそれがどの程度のものになるのかなどについては見当がつかない旨の回答を繰り返し行った。ただし、個別の事象による影響への言及は避けながらも、過去5年にわたり、パンデミック、関税などのショックが度々引き起こされ、今回再びショックが発生していることについては、「人々のインフレ期待の形成に『厄介な問題』を引き起こしかねない」として強い警戒感も示した。
(注)見通しは、FOMC参加者19人がそれぞれ予測を発表する。今回の政策金利の見通しでは、2026年は利下げなしと予想する者が7人、1回分を予想する者が7人、2回分を予想する者が2人、3回分を予想する者が2人、4回分を予想する者が1人となっている。これに対し、2025年12月時点では、利下げなしとしている者が7人、1回分を予想する者が4人、2回分を想定する者が4人、3回分を想定する者が2人、4回分を想定する者が1人、5回分を想定する者が1人となっていた。
(加藤翔一)
(米国)
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