米量子コンピュータ企業、日本の国立がん研究センターと創薬研究で戦略的連携

(米国、日本)

シカゴ発

2026年03月23日

米国の量子コンピュータ開発企業サイクオンタム(PsiQuantum、本社:カリフォルニア州)は3月12日、日本の国立がん研究センター(NCC)と、量子コンピューティングを活用した創薬研究の高度化を目的とする戦略的パートナーシップを締結したと発表した。

同社公式発表によれば、両者はサイクオンタムが開発を進めるフォトニック方式の誤り耐性量子コンピュータ(注)を用い、創薬プロセスにおける高度計算の効率化を目指す。新薬開発では、従来の計算手法では有意義かつ信頼性の高い結果を迅速に生み出すことが困難だが、量子計算の活用により化学的に正確なシミュレーションをより高速に実行することで創薬プロセスの加速が期待されるとしている。

NCCは日本のがん研究の中核機関で、基礎研究から臨床研究まで幅広い領域でデータと知見を蓄積している。今回の連携では、NCCが持つ研究能力とサイクオンタムの量子技術を組み合わせ、誤り耐性量子アルゴリズムの開発や、臨床的意義のある量子アプリケーションの開発を進める方針だ。両者は日本の主要製薬企業とも連携しながら、医療・創薬分野での量子技術活用を探る。

サイクオンタムによれば、同社の量子コンピュータは大規模かつ誤り耐性を備えた計算を目指して設計されており、創薬や材料科学など分子レベルの計算が鍵となる分野で特に応用可能性が高いという。同社は今回の連携について、量子コンピューティングが研究者や患者の利益につながる新たな治療法の設計にどう貢献し得るかを探る取り組みだとしている。また、連携を通じ、研究開発やがん患者の治療成果を含む医療バリューチェーンでの量子計算の実用可能性を探るとしている。

なお、サイクオンタムは米国シカゴ市南部に建設される量子コンピューティングキャンパス「イリノイ量子マイクロエレクトロニクスパーク(IQMP)」に、同社初の米国での誤り耐性量子コンピュータの設置拠点を建設中だ(2025年10月6日記事参照)。

(注)光子を量子ビットとして扱う方式で、エラー訂正により大規模計算を実行できる「誤り耐性」を目指した量子コンピュータ。

(マット・フェイグリー、菊地香穂)

(米国、日本)

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