ドイツのメルツ首相訪米、トランプ大統領と会談し中東情勢や関税措置などを協議
(ドイツ、米国、イラン、英国、スペイン)
ベルリン発
2026年03月11日
ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は3月3日、米国ワシントンでドナルド・トランプ大統領と会談した。ドイツ政府によると、イラン情勢に加え、経済・貿易問題、ウクライナ情勢、大西洋横断関係などが議題となった。
会談後の単独記者会見でメルツ首相は、イラン情勢について、「イランは、核開発計画、ミサイル開発計画、テロ、抑圧を終わらせるべき」とし、政治・経済的に安定したイランは、すべての国にとって利益であり、ドイツ政府は、イラン国民が自らの運命を自由に決定できるよう支援し、中東における安定した平和秩序の構築に貢献したいと語った。質疑応答では、イランにおいて政権を握れる集団をトランプ大統領が想定していると思うかとの問いに対し、メルツ首相は、当初から米国は軍事インフラを破壊後、イラン国民の手に運命を委ねるとしており、米国政府はイランの将来の統治体制について練り上げられた戦略を持ってはいないと理解していると答えた。
貿易・関税については、「公正で永続的な合意を望んでいる」と述べ、2025年8月の合意(2025年8月22日記事参照)よりも負担の大きい協定は、ドイツおよびEUにとって議論の余地はないとし、合意内容に基づく協定の早期署名・発効の立場を明確にした。また、ウクライナ情勢については、米国にロシアへの圧力を強めるよう話し合い、米国・ウクライナ・ロシア間の交渉には欧州諸国も参加させるべきと主張したと、明かした。
トランプ大統領が、イラン攻撃を巡る基地使用拒否などを受けスペインと英国を厳しく批判したが、会談中に両国を擁護しなかった理由を記者から問われたメルツ首相は、公の場で議論を深めたり激化させたりしたくなかったと回答しつつ、トランプ大統領との個人的な会話の中では明確に説明したとした。またEUは共同で関税交渉を行い、加盟国であるスペインを特別に不利に扱うことはできないと述べたほか、英国についてもE3(注)で非常に貴重な貢献をしており、こうした批判は不当であると伝えたと答えた。
ドイツ経済紙「ハンデルスブラット」(3月4日)は、米国側から譲歩を得られず、大西洋横断関係に対するさらなる現実主義をもたらす結果となったと論評。政治専門誌「ポリティコ」(3月4日)は、メルツ首相がメディアの前でトランプ大統領に反論せず、非公開の場で説得してドイツの立場を理解してもらおうとしたことは同首相の戦略の一部ではあったが、欧州各国に対しては後味の悪さを残したと批評した。
(注)2003年のイランの核開発計画に関する交渉以来、欧州の安全保障政策の調整の一環として発展してきた、英国・フランス・ドイツの3国による枠組み。メルツ首相の訪米直前の2月28日
と3月1日
に立て続けに、E3として、イラン情勢に対して共同声明を発表していた。
(中山裕貴)
(ドイツ、米国、イラン、英国、スペイン)
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