米アマゾン、オープンAIと戦略提携で最大500億ドルを投資

(米国)

サンフランシスコ発

2026年03月05日

米国アマゾンは2月27日、生成人工知能(AI)のオープンAI(Open AI、本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)へ最大500億ドルを投資する戦略提携を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。初回は150億ドルの優先株、残り350億ドルは条件達成時に実行する構成。これにより、同社のクラウド事業子会社であるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は、オープンAIの企業向けAI基盤「フロンティア(Frontier)」を第三者に独占的に配信する権利を取得した。また、オープンAIは、AWSのAI専用半導体チップ「トレイニウム(Trainium)」を2ギガワット規模で利用することを約束した。

さらに、両社は、AIモデルが記憶を維持し、作業コンテキストを保持し、複数ツールの連携を継続できる実行環境で長期作業に特化した新基盤「ステートフル・ランタイム・エンバイロンメント(Stateful Runtime Environment)」を共同開発し、アマゾン・ベッドロック(Amazon Bedrock、注1)上で提供する計画だ。

オープンAIは、アマゾンからの投資に加え、エヌビディア、ソフトバンクグループからの総額1,100億ドル規模の資金調達を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。また、オープンAIは、マイクロソフトと共同声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、「マイクロソフトとの関係は変わらず、IP(知的財産)ライセンスや収益シェア、ステートレスAPI(stateless API、注2)のアジュール(Azure、注3)独占も維持される」と説明している。今回のAWSとの提携は、アジュールに加えて、AWSをAIのトレーニングと第三者配信において活用するかたちであり、役割のすみ分けが明確になったともいえる。

AIインフラで存在感を増すアマゾン

アマゾンは、オープンAIの競合であるアンスロピック(Anthropic、本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)への出資・協業も継続している(2024年4月24日記事参照)。アンスロピックは、トレイニウムとアマゾン・ベッドロックを主要インフラとして採用している。今回、アマゾンがオープンAIとも提携することで、生成AIの大規模言語モデル(LLM、注4)をリードする2社を同時に取り込む戦略を鮮明にした。アマゾンのアンディ・ジェシー最高経営責任者(CEO)は、「アンスロピックとの関係は変わらない。また、オープンAIとも長期的なパートナーシップ構築に期待している」と述べた(CNBC、2月27日)。

(注1)サーバー不要で、クロード(Claude)、ラーマ(Llama)、タイタン(Titan)、オープンAIモデルなど100以上の大規模モデルを1つのAPIで使えるようにしたAWSのサービス。

(注2)サーバーが利用者の前回の状態(ステート)を記憶していないAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)。毎回のリクエストだけが独立して処理される。

(注3)マイクロソフトが提供するパブリック・クラウド・サービス。

(注4)膨大なデータで訓練されたディープラーニングモデル(深層学習)で、自然言語やその他のコンテンツを理解・生成できる技術。

(芦崎暢)

(米国)

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