北米量子技術関係者が来日、研究開発機関、大学、関連企業と交流
(米国、カナダ、日本)
シカゴ発
2026年03月10日
ジェトロは3月2~5日、米国とカナダの大学や研究機関など量子技術関連のエコシステム関係者が参加する「北米量子訪日ミッション」を産業技術総合研究所の「量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)」、量子技術による新産業創出協議会(Q-STAR)と共催した。量子分野のエコシステム間の関係強化を目指す30人が参加し、日本の研究開発機関や大学、企業の関係者らと交流した。
今回のミッションでは、茨城県つくば市にあるG-QuATを訪問し、量子コンピューティングや量子・人工知能(AI)融合技術の研究現場を視察した。G-QuATでは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/量子コンピュータの産業化に向けた開発の加速
」に採択された企業のうち13社が、量子コンピュータ開発、低温環境での動作を支える配線・部素材、光デバイスや光インターフェース、さらには量子コンピュータ間をつなぐ通信技術、制御・ミドルウエアまで、量子技術の産業化に必要な幅広い領域の取り組みを紹介した。また、理化学研究所(埼玉県和光市)では、量子コンピュータ研究センター(RQC)による研究活動および量子コンピュータとスーパーコンピュータ「富岳」を連携させるJHPC-quantumプロジェクト
の説明を受けた後、同研究所が中心となって開発した国産量子コンピュータ初号機「叡(えい)」と同研究所内に設置された「黎明(れいめい)」を視察した。
G-QuAT視察の様子(ジェトロ撮影)
理化学研究所視察の様子(ジェトロ撮影)
大学関係では、東京大学が、量子AIとハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)を統合し、量子AI基盤を構築することを目的としたサスティナブル量子AI研究拠点(SQAI)
、量子コンピュータの社会実装を推進する量子イノベーションイニシアティブ協議会(QII)
の活動を紹介した。また、研究成果の社会実装を支援する投資会社である東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)、大学発ディープテック系スタートアップを支援する東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)の活動を説明し、研究・産業・投資が連動したエコシステム形成について意見交換が行われた。慶應義塾大学では、量子コンピューティング教育・研究の拠点、慶應義塾大学量子コンピューティングセンター(KQCC)
の取り組みが紹介された。
企業関係では、Q-STARとの連携の下、国内量子関連スタートアップのピッチセッション、会員企業とのラウンドテーブルを実施し、NEDO事業実施企業と日本の主要企業が意見交換した。経済産業省では、輸出管理、対内直接投資審査、研究安全保障など国際連携に不可欠な制度面について、日米、カナダの制度概要が紹介され、国際連携におけるリスク管理と連携促進の在り方について議論が行われた。
ジェトロでは2024年以降、日本国内で米国の量子エコシステムを紹介するセミナーの実施や、日本企業や関連機関などをメンバーとする米国イリノイ州、マサチューセッツ州、コロラド州へのミッション派遣などを行ってきた(2025年6月30日記事、2025年7月3日記事、2026年2月19日記事参照)。北米と日本との量子産業交流が活発になる中で、今回のミッションを通じた今後のさらなる関係構築・強化が期待される。
ネットワーキングの様子(ジェトロ撮影)
(中川崇、菊地香穂)
(米国、カナダ、日本)
ビジネス短信 9e4896ced794419c






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