トランプ米大統領、AIデータセンター建設において新たに電力供給を確保するよう企業と合意

(米国)

ニューヨーク発

2026年03月10日

米国のドナルド・トランプ大統領は3月4日、アマゾンやグーグルなど米大手テック企業7社と、人工知能(AI)などに利用するデータセンターの建設において、新たな電力供給源の確保などを求める誓約書に合意したと、大統領布告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで発表した(注)。同日、ファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますおよび料金支払者保護にかかる誓約書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの内容も公表した。

誓約書に署名したテック企業には、具体的に次の5つの取り組みが求められる。

(1)新たな電力供給源の構築、導入、または購入

企業は、データセンターの設置に関わるエネルギー需要を満たすために必要な発電と電力供給に係るインフラを、新たに建設、導入、または購入する。これらの資源にかかる費用を企業が全額負担することで、米国国民を電力価格高騰から保護する。

(2)電力供給インフラの新規更新費用の負担

企業は、データセンターのサービス提供に必要なすべての電力供給インフラの更新費用を負担する。

(3)電力使用の有無にかかわらず料金を支払う

企業は、州政府との間で料金体系を交渉し、データセンターへの電力供給のために新たに稼働した発電所施設などについては、実際の電力使用の有無にかかわらず企業側が事前に約束した料金を支払う。これにより、データセンター開発に伴う公共料金の値上げから消費者を保護する。

(4)地域雇用の創出と人材育成

データセンター建設により、雇用創出に貢献するとともに、当該地域での技術者の人材育成にも携わることで、地域社会に貢献する。

(5)電力と地域社会の耐久性強化への貢献

企業は送電網運営者と連携して送電網の信頼性向上に貢献し、可能な限り、電力不足時には予備電源を提供できるようにして、地域社会における停電や電力不足を防止する。

ファクトシートでは、バイデン前政権のクリーンエネルギー政策が電気代高騰を引き起こした要因の1つとして言及され、トランプ政権がこれらのクリーンエネルギー政策による弊害を是正すると強調した。2月24日の一般教書演説の際にも(2026年2月25日記事参照)、トランプ氏はデータセンターの建設拡大による電気代高騰を緩和するための、大手テック企業との合意事項を発表する予定と発言していた (議会専門紙「ザ・ヒル」2月24日)。今回の大統領布告は、11月の中間選挙を前に、米国民の関心の高い電気代高騰への対応を示すことで政権の物価高対策への姿勢を明らかにする狙いが垣間見られる(政治専門紙「ポリティコ」2月26日)。

ただし、誓約書によってカバーされる範囲やデータセンター建設がどの程度の雇用創出につながるのかという点も含め、不明瞭な部分も多い。企業の対応を含め、今後の動向が注視される。

(注)ファクトシートによると、4日、トランプ氏の要請に応じ、ホワイトハウスで署名を行ったのはアマゾン、グーグル、メタ、マイクロソフト、オープンAI、オラクル、エックスAIの7社。

(久峨喜美子)

(米国)

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