米アルティウムセルズ、EV減速で電池拠点を再編
(米国)
ニューヨーク発
2026年03月26日
米ゼネラルモーターズ(GM)と韓国LGエナジーソリューション(LGES)の合弁会社であるアルティウムセルズ(本社:オハイオ州)は3月17日、テネシー州スプリングヒル工場において、2025年7月に発表(2025年7月15日記事参照)していたエネルギー貯蔵システム(ESS)向けのリン酸鉄リチウムイオン(LFP)バッテリーの生産を、2026年第2四半期に開始すると発表した
。同工場はもともと電気自動車(EV)向け電池の生産拠点として整備されたが、EV販売の減速や、データセンターなどの電力需要の拡大に対応するための系統蓄電池の需要拡大などを背景に、7,000万ドルをかけて製造工程を改修していく方針だ。
LGESは、2026年内に世界のESS用バッテリー生産能力を60ギガワット時(GWh)以上に拡大することを目指しており、その80%以上を北米に配置すると公表した。今回発表されたスプリングヒル工場に加え、同社の完全子会社であるミシガン州ホランドおよびランシング、カナダのオンタリオ州ウィンザーにある拠点と、2023年1月に設立が発表されたホンダとの合弁会社であるオハイオ州のL-HバッテリーカンパニーでもESS用バッテリーの生産能力を高める予定だ。
トランプ政権において、バイデン前政権下で制定されたクリーンビークル(CV、注)購入に対する税額控除の撤廃や、環境規制の緩和、見直しの動きなどもあって、CV販売の勢いは減速する傾向にある。米コンサルティング会社アリックスパートナーズによると、2025年11月時点で北米のEV用バッテリーの生産能力は需要の1.9倍に達しており、設備過剰の状況にある。他方、ブルームバーグNEFの試算によると、米国のデータセンターの電力需要は、2024年の約35GWhから、2035年には106GWhへと大幅に拡大する見込みである一方、電力容量の追加がこのスピードに十分に追い付かない可能性も指摘されている。
こうした背景から、今回のLEGSの事例以外にもバッテリー生産の再編計画が発表されている。フォードと韓国SKオンは2025年12月、約110億ドル規模のケンタッキー州とテネシー州のブルーオーバルSKの合弁関係を解消し、拠点の運営を分離すると発表。フォードはケンタッキー州の拠点でリン酸鉄リチウム(LFP)電池をESS用に振り向けると公表した(2025年12月24日記事参照)。またステランティスも韓国のサムソンSDIとの合弁会社であるスタープラスエナジーのインディアナ工場で、一部ESS向け生産ラインの割り当てを拡張したことが報じられている(S&Pグローバル 2月4日)。さらにEVメーカーのテスラはLGESとの間で、上述のLGESのランシング工場で生産されるESS用セルの供給契約を締結し、
テキサス州ヒューストンで生産されるテスラの大型系統用蓄電設備「メガパック3」向けに使用する予定だ。
(注)バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)の総称。
(大原典子)
(米国)
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