パキスタンが中東情勢巡る外相級協議を主導

(パキスタン、中東)

カラチ発

2026年03月31日

不安定な中東情勢の中、パキスタン政府は地域の緊張緩和に向け、外交的関与を強めている。3月29日~30日には、サウジアラビア、トルコ、エジプトの外相級らを首都イスラマバードに招き4カ国協議を開催、停戦や対話再開に向け意見交換を行った。

パキスタンのムハンマド・イスハーク・ダール副首相兼外相は協議の中で、米国イラン間の対話の場をイスラマバードで用意できることに言及、来訪した各国の外相らはこの取り組みに全面的な支持を表明した。またダール外相は「米国とイランは、パキスタンが協議の仲介役を果たすことについて信頼を表明している」とした。また、シャバズ・シャリフ首相は4カ国協議に先立ち、紛争終結に向けた米イラン間の協議開催国となる用意があると演説していた(2026年3月27日記事参照)。

ダール外相は加えて、他の中東諸国および中国とも電話会談を重ね、パキスタンによる中東情勢改善に向けた取り組みに対する支持と協力の意向が示されたとしている。さらに同外相は中国の王毅・共産党中央政治局委員兼外交部長(外相)の招きを受け3月31日から訪中し、地域の問題解決に向け、さらに協議を重ねることになっている。

中東からインド洋にかけての海上輸送路の安定は、エネルギーや物流面で同地域との関係が深い日本企業にとっても注視すべき要素だ。パキスタン進出日系企業は、中東リスクがビジネス活動にどのように波及するか、パキスタンが地域安定化の「緩衝役」として機能し得るか、港湾・物流・エネルギー関連の停滞が事業の継続性や日々の実生活にどう影響するか、などの点にとりわけ注目している。パキスタン空港庁が3月13日付け公式通達(NOTAM-A0147/26)で、国内のジェット燃料不足を発信した際には、日系企業駐在員の間で、空路が断たれる事態を想定した対応方針について議論が起こった。

パキスタン国内では、中東の安定が自国経済の安定に直結するとの認識が広く共有されている。また、中東地域に多数の出稼ぎ労働者を抱える同国にとって、その安全確保や外貨収入(郷里送金)への影響は無視できない。進出日系企業をはじめとする民間セクターも、こうした外交的動きがビジネス環境に及ぼす影響を高い関心をもって見守っている。

(糸長真知)

(パキスタン、中東)

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