全人代の台湾政策は従来路線を踏襲、識者は米中首脳会談を注視

(中国、台湾)

調査部中国北アジア課

2026年03月10日

中国の第14期全国人民代表大会(全人代)第4回会議が3月5日に開幕した(2026年3月6日記事参照)。

同日に李強首相が行った政府活動報告では、台湾政策について、「私たちは新時代における党の台湾問題解決の総合的方針(以下、総合的方針)を深く貫徹し、『一つの中国』原則と『92年コンセンサス』を堅持するとともに、『台湾独立』の分裂勢力を断固として打撃する。また、外部勢力の干渉に反対し、両岸関係の平和的発展を推進し、祖国統一の大業を推し進める」とし、従来の内容から大きな変更はなかった。

前日の4日に開幕した全国政治協商会議で王滬寧主席が行った活動報告では、直接は両岸関係に言及しなかったが、7日に行われた全人代第4回会議の台湾代表団審議では、「習近平国家主席の対台湾政策に関する重要論述と総合的方針を深く貫徹し、必勝の信念を高め、統一の大勢を形成し、両岸関係の平和的発展を推進し、『祖国統一の大業を進める』必要がある」と述べた(「中央通訊社」3月8日)。

3月8日付の中央通訊社によれば、中国共産党の王毅外交部長は同日の記者会見で、「台湾の中国への回帰は第二次世界大戦の勝利の成果である」と主張した。また、国連総会第2758号決議など一連の文書によって台湾の地位は「しっかりと確定されている」と述べた。国際社会で「二つの中国」や「一つの中国・一つの台湾」作り出そうとするいかなる企ても必ず失敗に終わるとした。さらに、台湾問題は中国の内政であり、中国の核心的利益の中でも最重要の問題であるとし、この「レッドライン」を越えることは許されないと強調した。

台湾の大陸委員会は、王外交部長の記者会見での発言について、第二次世界大戦の歴史文書を再び歪曲(わいきょく)したことに対し、台湾の大陸委員会は厳正に反論するとし、「台湾当局は主流民意に基づき両岸政策を推進し、台湾の未来は2,300万人全ての人民によって自主的に決定されるべきだ」と述べた。

淡江大学両岸研究中心の張五岳主任は2026年の両岸関係について、「挑戦が機会を上回るものの、慎重ではあっても悲観的ではない」と評価した。特に全人代終了後には米国ドナルド・トランプ大統領の訪中が控えており、2026年には4回以上の米中首脳会談が行われる可能性が高いと指摘した。具体的には4月のトランプ大統領の訪中、習近平国家主席の訪米、11月の深セン市でのAPEC首脳会議、12月の米国でのG20サミットなどを挙げ、台湾問題が首脳会談の重要な議題となるとみている。さらに張主任は、米国の2026年版「国家防衛戦略」では中国大陸への言及が減少したことや、トランプ大統領が一般教書演説で米国の偉大さを誇示する一方で中国には言及しなかったことに触れ、これは米中首脳会談で不必要なトラブルを避けるための配慮だと分析した(「経済日報」3月4日)。

(江田真由美)

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