2025年の失業率は4.2%に上昇、洪水対策予算問題で建設関係の雇用に影響

(フィリピン)

マニラ発

2026年03月04日

フィリピン統計局(PSA)は2月6日、2025年の失業率が4.2%(約214万人)に達すると発表した。2024年の3.8%(約190万人)から上昇した。

PSAのクレア・デニス・マパ長官は、「失業率の上昇は主に洪水対策予算問題(注1)に伴う建設業の雇用喪失によるものだ」と述べた。また、フィリピン大学ディリマン校労働産業関係学部(UP SOLAIR)のベンジャミン・ベラスコ助教授は、「洪水対策予算問題によってインフラ整備が中断したことに加え、台風による混乱が農業・漁業に深刻な影響を与え、雇用喪失につながった」と指摘した(2026年2月6日付「ビジネス・ワールド」紙)。

PSAの統計によると、2025年は建設業が年間で最も大きな減少幅を記録し、55万人が失業した。次いで、運輸・倉庫業および漁業・養殖業ではそれぞれ25万8,000人、製造業は25万5,000人、農林業は16万7,000人の従事者が減少した。就業率は、2024年の96.2%から95.8%に低下した。一方、就業人口でみると、過去3年間で最低だった2024年の4,884万人から17万2,000人増加し、4,901万人だった。不完全雇用率(注2)は、2025年は11.9%と安定したが、対象となる人口は2024年より多い582万人だった。また、2025年12月時点の総就労者数のうち、サービス業が62.4%を占め、次いで農業が20.7%、鉱工業が16.9%だった。

フィリピン経済企画開発省(DEPDev)のローズマリー・エディロン次官は、「2026年にフィリピン開発計画(PDP、注3)を強化するにあたり、雇用創出を最優先課題とする」と述べた。また、「消費者と企業との信頼関係の回復、事業コストの削減、イノベーションの促進、研修とリスキリングの機会の拡大に注力している」と強調した(2026年2月7日付「フィルスター」紙)。

一方、フィリピン労働雇用省(DOLE)のビエンベニド・ラグエスマ大臣は、「建設業に加え、農業・漁業分野における雇用機会の再構築および生活支援に重点を置く」と述べた。DOLEは、雇用の安定化を促進するとともに、労働者が気候変動に強い安定した職に就けるよう、スキルアップおよびリスキリングのプログラムの強化を目指している(2026年2月9日付「ビジネス・ワールド」紙)。

(注1)フィリピン公共事業道路省(DPWH)の洪水対策事業予算5,450億ペソ(約1兆4,715億円、1ペソ=約2.7円)のうち約1,000億ペソが、請負業者2,409社のうちわずか15社に集中して配分されていたことが問題となっており、治水工事が中断されるなどの影響が出た(2025年12月2日記事参照)。架空事業は216件に上ると報告されている(2026年1月30日付「インクワイアラー」紙)。

(注2)就業先または他の事業所で現在より長く働きたい労働者、副業を探している労働者が就業人口に占める率。

(注3)PDPは、大統領の任期に合わせて策定される国家開発計画。インフラ開発、マクロ経済政策、金融システム政策などを含んだ、国レベルの包括的な開発計画のことを指す。現政権では、「フィリピン開発計画(PDP)2023-2028年PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」が策定されている。

(西岡絵里奈、アギラー・パールホープ)

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