洪水対策予算問題で3閣僚が交代、ビジネス界からは期待と懸念のコメント

(フィリピン)

マニラ発

2025年12月02日

フィリピンのクレア・カストロ大統領報道官は11月17日、ラルフ・レクト財務相を官房長官に、フレデリック・ゴー投資・経済担当大統領特別補佐官を財務相に任命すると発表した。また、ロランド・トレド予算管理次官が予算管理相に任命された。なお、ゴー氏の後任となる大統領特別補佐官はまだ発表されていない。

今回の内閣改造は、アメナ・パンガンダマン予算管理相とルーカス・ベルサミン官房長官が、洪水対策の支払いをめぐる問題(注)に関与したとされ、自主的な辞任を促されたことを受けて行われた。

フィリピン産業連盟(FPI)のエリザベス・リー会長は「内閣改造は投資家の信頼を回復し、国の安定と政策の明確化を促す」とコメントした。また、フィリピン商工会議所(PCCI)のエヌニナ・マンジオ会頭は「レクト氏とゴー氏はそれぞれ、豊富な立法・政策の専門知識とビジネスと投資促進における確固たる経歴を有しており、経済成長の促進に不可欠だ」と述べた。フィリピン基地転換開発庁(BCDA)も「ゴー氏は財政運営を強化し、投資家の信頼を高め、経済戦略を実際の利益に結びつけることができる」と述べた(11月18日付「ビジネス・ワールド」紙)。

一方、投資家側では、地場企業レイエス・タカンドン・アンド・カンパニーのシニアアドバイザーのジョナサン・ラベラス氏が「投資家は政策だけでなく信頼性も懸念している」と述べた上で、「実質的な改革と透明性が必要だ」とした。また、アテネオ・デ・マニラ大学政策センター研究員のマイケル・ヘンリー・ユシンコ氏は「投資家にとって、今回の内閣改造は現政権が同問題を真摯(しんし)に受け止めていないと捉えられる可能性がある」と述べた。

アメナ前予算管理相は、トレド予算管理相とゴー財務相がフィリピン開発予算調整委員会(DBCC)の議長を務め、経済目標の見直しを予定どおりに進めると発表した(11月20日付「マニラ・タイムス」紙)。

(注)フィリピン公共事業道路省(DPWH)の洪水対策事業予算5,450億ペソ(約1兆4,715億円、1ペソ=約2.7円)のうち約1,000億ペソが、請負業者2,409社のうちわずか15社に集中して配分されていたことが問題視されている。

(西岡絵里奈、アギラー・パールホープ)

(フィリピン)

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