ベトナムECの模倣品対策で、権利者団体・執行機関・主要企業が3者間MOU締結
(ベトナム、日本)
バンコク発
2026年03月10日
ジェトロが事務局を務める国際知的財産保護フォーラム(IIPPF、注1)は3月5日、東京でベトナム国内市場管理・開発庁(DMS、旧ベトナム市場管理総局)、ベトナム主要ECプラットフォーム4社(TikTok Shop、Shopee、Lazada、Tiki、注2)と同国市場でのオンライン模倣品対策に関する、3者間の了解覚書(MOU)を締結した。MOU署名式では、活動を支援する日本特許庁(JPO)の河西康之長官立ち会いの下、小林利彦IIPPF座長、チャン・フー・リンDMS長官、ECプラットフォーム各社が署名した(注3)。また、署名式には、守山宏道内閣府知的財産戦略推進事務局次長、鈴木崇文ジェトロ理事らも出席した。
DMSはベトナム国内のオンライン・オフライン双方で流通する模倣品を取り締まる中心的なエンフォースメント(執行)機関。IIPPFとDMSは2024年12月20日に2者間MOUを締結し(2025年1月9日記事参照)、その枠組みを通じて同国での模倣品摘発を着実に進めてきた。
近年、ベトナムではEC市場の急拡大により、オンライン上の模倣品被害が深刻化している。同国では2026年7月1日、電子商取引法が施行される予定で、同法の下で、DMSはEC市場全体を直接監督・執行できる権限を持つことになる。また、ECプラットフォーム側にも、違法出品の監視や出店者の身元確認など、より強い法的責任が課される見通しだ。
同国オンライン市場のルールが大きく変わる局面で、上記2者間だけでなく、DMS・ブランド権利者・ECプラットフォームの3者による緊密な連携はこれまで以上に重要となる。今回のMOU締結により、DMSによる摘発の迅速化、ECプラットフォーム側での監視体制の高度化、そして権利者からの通報や証拠提供の円滑化が期待される。3者が協力して取り組むことで、模倣品対策の実効性は大幅に高まり、より安全なEC市場の構築につながる。
また、公式に発表された事例として、執行機関・主要ECプラットフォーム・権利者団体がオンライン模倣品対策でMOUを締結することは世界初の取り組みだ。本件は、オンライン模倣品対策の新たなグローバルスタンダード、そしてモデルケースとして大きな意義を持つ。
IIPPFとDMSはこれまでにも、2025年12月に実施した真贋(しんがん)判定セミナー(2025年12月25日記事参照)など、継続的な協力を通じて関係を深めてきた。今回のMOUは、そうした積み重ねの集大成であると同時に、両国間での知財保護協力を一段と実務的かつ発展的に進める契機となる。
IIPPF・DMS・ECプラットフォームとの3者間MOU署名式の様子(ジェトロ撮影)
署名式への参加者の様子(ジェトロ撮影)
(注1)IIPPFは2002年4月、模倣品・海賊版など海外での知財権侵害問題の解決に意欲を有する企業・団体によって設立され、2026年3月現在で約200団体・企業が参加している。IIPPFを構成する地域・分野別の各プロジェクトでは、海外の政府機関や専門家との意見交換会などを実施している。
(注2)ベトナム最大級のECデータ分析企業であるMetric社などによれば、2025年のベトナムEC市場規模は約429.7兆ベトナムドン(約2兆5,877億円、1ベトナムドン=約0.006円)で、2025年のベトナムEC市場シェアは、Shopee(約56%)、TikTok Shop(約41%)、Lazada(約2.6%)、Tiki(約0.4%)。4社合計で同国EC市場シェア約100%。
(注3)署名式の様子はJPOウェブサイト
「ベトナム国内市場管理・開発庁(DMS)と意見交換を実施したほか、特許庁長官立ち会いの下、国際知的財産保護フォーラム(IIPPF)、DMS、ベトナムECプラットフォーマーとのMOU締結の署名式を行いました」も参照。
(内藤康彰)
(ベトナム、日本)
ビジネス短信 4250a95f9b135fa3






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