パリ司法裁判所、国外の注意義務法違反で初めてフランスの親会社に有罪の判決
(フランス、トルコ、EU)
パリ発
2026年03月26日
フランスのパリ司法裁判所は3月12日、化粧品メーカーのイヴ・ロシェ(Yves Rocher)グループに対し、トルコの子会社で人権デューディリジェンスに関する注意義務法に違反があったとして、有罪の判決
を下した(プレスリリース、フランス語)。フランスの裁判所が国外での事案についてフランスの親会社の責任を認めた初めての例となった。
パリ司法裁判所は、同社のトルコの子会社が、注意義務法を編入した商法典L225-102-1条
(フランス語)のIに規定されているフランス国内の企業および国内外の子会社における人権、基本的自由、労働における健康と安全などのリスクを分析する義務を果たさなかったと判断し、元従業員9人に合計8,000ユーロ、労働組合のPetrol-İşに4万ユーロの賠償を支払うよう命じた。
トルコの子会社は2018年、労働組合のPetrol-İşが結成されたことを契機に、労働組合に加入した130人以上の従業員を大量解雇していた。2019年には団体交渉により解雇された大半の従業員が和解に合意しており、今回、81人の原告のうち、和解に合意しなかった9人の従業員の請求のみが認められた。子会社は2024年に売却されたため、請求は損害賠償に限定されていた。
同裁判所は、トルコ法を排除してフランス法を準拠法とした理由として「サプライチェーンにおけるフランス企業の責任ある行動を促進するため、国際基準で求められ、EU指令で認められているように、フランスの立法者は、注意義務法違反に起因するフランス国内外で生じた損害について、国内規定に強制力を与える意図を明確に有していた」ことを挙げた。
注意義務法(正式名称は「親会社と発注企業の注意義務に関する法律」
)は2017年に施行され、一定規模以上の企業に対し、注意義務に関する計画書の作成、開示や計画の実施を義務付けている(2021年6月10日付地域・分析レポート参照)。同法の対象となる企業は、2連続会計年度終了時に(1)フランスに所在する企業で当該企業およびフランス国内の直接、間接の子会社で合計5,000人以上の従業員を雇用している企業、または、(2)フランスに所在する企業で当該企業およびフランス国内外の直接、間接の子会社で合計1万人以上の従業員を雇用している企業。
労働組合Petrol-İşのルザ・キョゼ氏は、「人権デューディリジェンスの適用について、画期的な判決であるが、この事件における労働組合の結成の自由のために戦った72人の従業員の権利は十分に守られなかった」と指摘し、「勝利は部分的である」と評価した。
(クロティルド・クニッグスドーファー、奥山直子)
(フランス、トルコ、EU)
ビジネス短信 36ecc9d1096b480d






閉じる