中東情勢悪化を受け、ブラジル政府は対話による解決の重要性を強調、経済への影響に懸念も
(ブラジル、南アフリカ共和国、イスラエル、米国、イラン)
調査部米州課
2026年03月12日
ブラジル外務省は2月28日、イスラエルと米国によるイランへの攻撃(2026年3月2日記事参照)を受け、湾岸地域における情勢の緊迫化とこれによる人道的かつ経済的影響を懸念する声明を発表した(2月28日付ブラジル外務省)。
ブラジル現地紙「ベージャ」(2月28日付)によると、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は、軍事力ではなく対話による外交的解決の必要性を強調した。また、政府は中東地域に居住するブラジル人の安全確保を最優先するべく、在外公館によるブラジル人保護に注力すると報じた。
また、3月9~10日に南アフリカ共和国を公式訪問したルーラ大統領は、10日に行われたシリル・ラマポーザ大統領との2者会談の中で「世界的な地政学的緊張が高まる中、ブラジルは潜在的な外部脅威に備えて自らを防衛する準備を整えなければならない」と述べ、その上でブラジルと南アというグローバルサウスの主要経済国同士の防衛協力強化の重要性も強調した(3月10日付現地紙「メルコプレス」)。
この度の中東情勢悪化を受けた、ブラジル経済への影響としては、現地通貨レアル安の進行、紛争が長引くことによる原油高とこれに起因するインフレ圧力の強まりが懸念されている。3月2日付の現地経済誌「インフォマネー」は、ブラジル国内最大規模の独立系金融サービスグループであるXPインベストメントの分析を引用し、「原油価格が10ドル上昇するごとに、2026年の拡大消費者物価指数(IPCA)が0.4ポイント上昇」する可能性を報じている。ブラジル大手金融機関の1つであるイタウ銀行は、現地通貨レアルの下落圧力が強まる可能性について言及した(3月2日付イタウ銀行公式ブログ)。なお、原油価格の上昇によるインフレ圧力は「紛争が最低 2四半期継続することが前提」と述べた上で、3月17~18日に実施予定の金融政策委員会(Copom)で予定される利下げについては、「利下げ方針を変更する必要はない」として、政策金利(Selic)が、引き続き現行の15%から0.5ポイント引き下げられる可能性を指摘した(3月2日付イタウ銀行公式ブログ)(注)。
(注)1月28日に開催されたCopomでは、Selicが15%に据え置かれた(2026年2月4日記事参照)。中央銀行は、現行の金利水準がインフレ抑制に寄与しているとの認識を示している。その上で、次回会合(3月17~18日開催)で利下げを開始する可能性を示唆している。
(辻本希世)
(ブラジル、南アフリカ共和国、イスラエル、米国、イラン)
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