東京都内でEU投資フォーラム開催、日欧連携の重要性を強調

(EU、日本)

調査部欧州課

2026年03月19日

日欧産業協力センターは310日、駐日EU代表部(東京都港区)で「EU投資フォーラム:Why Should I Invest in the European Union?」を開催した。同フォーラムは、在日のEU加盟国の投資促進機関および各国大使館との共催により、日本企業によるEUへの投資および事業展開を支援することを目的とするイベントだ。

駐日EU代表部のトーマス・ニョッキ公使・副代表は開会あいさつの中で、日本はEUと共通の価値観を持つパートナーであるとともに、EUのサプライチェーンの強靭(きょうじん)化や多角化にとっても不可欠な存在だとし、例としてバッテリー分野でのサプライチェーンの補完性を挙げた。

写真 開会あいさつをするニョッキ駐日EU代表部公使・副代表(日欧産業協力センター提供)

開会あいさつをするニョッキ駐日EU代表部公使・副代表(日欧産業協力センター提供)

第1部のセミナーでオンライン登壇した、欧州委員会の域内市場・産業・起業・中小企業総局(DG Grow)副総局長のマイブ・ルーテ氏は基調講演の中で、EUはグリーンへの移行とデジタル化を進め、企業の競争力を強化するために、規制上の障壁を低減し、企業が生産要素(人材・資本・技術など)に迅速にアクセスできるビジネス環境を整備してきたと説明。さらに、欧州委が3月4日に発表した産業加速法案(IAA、2026年3月13日記事参照)によって長期的な予見性が高まり、脱炭素化に向けた投資が加速するとした。同法案における「域内産(Made in EU)」要件では、EUと経済連携協定(EPA)を締結する日本は欧州の企業と同等に扱われるとした(注)。

続いて、オンライン登壇した欧州委のDG GrowインベストEU(InvestEU)ガバナンス・アドバイザリー・ユニット政策担当官のラモナ・オチャク氏が、2021~2027年の中期予算枠組み(MFF)における投資促進策「インベストEU(InvestEU)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の支援制度について説明した。インベストEUは、(1)EU投資ファンド外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(EU域内の金融機関などからの資金調達機能)、(2)アドバイザリーハブ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(無料の投資助言プラットフォーム)、(3)インベストEUポータル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(企業や投資家とのマッチメイキング・プラットフォーム)から成る。(1)については、日本企業がEU加盟国に登録された法人を通じてEU域内で事業を行う場合、InvestEUを活用できることが説明された。また、プロジェクトの大部分はEU域内で実施される必要があるものの、一部の活動は日本で実施することも可能であるとされ、オチャク氏は日本企業の参加を奨励した。加えて、(3)については、世界中の投資家に開かれているため、日本の投資家も登録が可能である点が指摘された。

国際協力銀行(JBIC)常務執行役員・資源ファイナンス部門長の天野辰之氏は、同行のEU投資向け金融支援を紹介。先進国向け支援対象分野には2025年に、医薬品、内燃機関車、鉄鋼・鉄鋼製品が追加された(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

さらに、EUにおける日本企業の投資・事業展開に関するケーススタディとして、(1)三菱マテリアルの重要原材料のリサイクルを促進する資源循環事業(オランダ)、(2)丸紅と次世代蓄電デバイスメーカーであるスケルトン・テクノロジーズ・グループ(エストニア)との協業事例が紹介された。

ジェトロの片岡進副理事長は、第1部の閉会あいさつにおいて、「過去になく日欧連携のモメンタムが高まる中、具体的なビジネス事例につなげていくため、ジェトロも支援していく」と述べた。なお第2部では、EU各国の投資促進機関と参加者とのネットワーキング・セッションが行われた。

写真 第1部の閉会あいさつをするジェトロの片岡副理事長(日欧産業協力センター提供)

第1部の閉会あいさつをするジェトロの片岡副理事長(日欧産業協力センター提供)

(注)IAAの支援対象産業は、鋼材、コンクリート、アルミニウム、電気自動車(EV)、ネットゼロ技術。ただし、電気自動車(EV)関連の財政支援における「域内産」要件はEU原産のみとなる。

(森友梨、川嶋康子)

(EU、日本)

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