ドイツ研究・イノベーション専門家委員会、政府が取り組むべき重要テーマを指摘

(ドイツ)

ミュンヘン発

2026年03月03日

研究・イノベーション専門家委員会(EFI)は2月11日、ドイツにおける研究・イノベーション・技術競争力に関する調査をとりまとめた「EFI報告書」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)をフリードリヒ・メルツ首相に提出した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、ドイツ語)。同報告書では、「2025年にイノベーション・研究の進歩がみられたが、さらなる発展の可能性があることが明らかになった」とし、2026年に連邦政府が取り組むべき重要テーマを指摘した。

EFIは2008年以降、連邦政府に対して政策提言を行っており、EFI報告書を毎年作成している。2026年版の報告書は2部構成で、現在の動向と課題を分析した第1部では、2025年7月に閣議決定された国家戦略「ハイテク・アジェンダ・ドイツ(HTAD)」(2025年8月6日記事参照)の重要性に触れた。HTADは特定の6つの重点研究技術領域に投資することでドイツ経済競争力の強化やイノベーションを推進する政策で、EFI報告書は6領域のうち、ドイツは気候中立なエネルギー生産や気候中立型モビリティー技術では強い一方、人工知能(AI)とマイクロエレクトロニクス分野では相対的に弱いとした。

次に、変化する安全保障情勢の中で政策立案者が適切な判断を行うためには、安全保障と政策の選択肢に関する専門知識が必要であり、安全保障関連の研究や教育を行う機関の拡充を提言した。

第2部は2026年の重要テーマについてまとめており、EFIは(1)中小企業におけるイノベーション、(2)大学におけるイノベーションと競争力、(3)AIの開発と応用、の3点を挙げた。(1)中小企業のイノベーションは、官僚主義による規制対応負担や熟練労働者不足などの制約を受けており、そういった分野での枠組みの改善を提案した。(2)では、大学の自治権拡大や成果重視の経営への移行により大学間の競争が激化したことが、リスクの高い革新的なプロジェクトへの取り組みに不利に働いているとした。さらに、(3)AIでは、ドイツ・欧州は研究においては強く応用においても初期的な成功を収めているが、付加価値創出につながるAIの開発では米国や中国に遅れていると指摘した。

ドイツ商工会議所連合会(DIHK)の研究専門家セバスチャン・ボレイ氏は同日、「ドイツのイノベーションの原動力が多くの箇所で停滞していることが報告書で明らかになった。ドイツ経済が競争力を失わないために、イノベーション促進策が緊急に必要である」とコメントした。

(アンナ・グリンフェルダ)

(ドイツ)

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