新インセンティブ枠組みを発表、戦略的な投資誘致に転換へ

(マレーシア)

クアラルンプール発

2026年02月17日

マレーシア投資貿易産業省(MITI)およびマレーシア投資開発庁(MIDA)はこのほど、新インセンティブ枠組み(NIF)を導入すると発表した(MITIリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)MIDAリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。昨年10月にアンワル・イブラヒム首相兼財務相が国家予算案演説で示した新たな投資優遇措置(2025年10月16日記事参照)について、詳細の一部が明らかになった。NIFは3月1日から製造業を対象に導入を開始し、サービス業についても2026年第2四半期(4~6月)の導入を目指す。

NIFの大きな変更点は、1986年投資促進法で定められていた奨励事業および奨励製品リストを廃止し、成果連動型かつ階層的なインセンティブへと移行する点にある。製造業の新規投資向けガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、法人所得税の減免措置である特別税率(STR:Special Tax Rate)と、法定所得から資本支出を控除する投資控除(ITA:Investment Tax Allowance)の2種類のいずれかを申請できる。

インセンティブの対象となる製造業は15分野で、詳細な条件は上記ガイドラインのAppendix I(付録I)に規定される。インセンティブの内容は、NIAスコアカードを用いて、投資が国家戦略にどの程度貢献するかの評価結果に応じて認定される。認定結果は原則承認レター(principal approval letter)に記載され、その後、企業がインセンティブの発効日など(注)の申請を行った上で、正式な承認レターが発行される(添付資料表参照)。

ここで言う国家戦略とは、国家投資目標(NIA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますおよび新産業マスタープラン(NIMP)2030外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを指す。NIAスコアカードの評価項目は、NIMP2030の目標である「経済複雑性の向上」「高付加価値の雇用機会創出」「国内産業間の連携拡大」「新たな産業集積の開発と既存集積の改善」「包摂性の向上」「ESG(環境・社会・ガバナンス)の推進」に沿って設定されている。

MITIによると、製造業が既存事業に再投資する際のインセンティブは議論中で、追加発表が待たれる。NIFのFAQPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、ジョホール・シンガポール経済特区(JSSEZ)、デジタル・エコシステム・アクセラレーション・スキーム(DESAC)、グローバル・サービス・ハブ、NIMP2030に基づく再投資インセンティブなどの既存スキームについては、各スキームで定められた申請期限内であれば、引き続き申請が可能だ。

NIFの導入により、マレーシアの投資インセンティブの様相は戦略的に大きく政策転換する。国家開発の優先事項とOECDの「第2の柱」に基づくグローバル・ミニマム税(GMT)など新たな国際基準を整合させ、マレーシアが世界的な経済課題に直面する中でも、競争力、持続可能性、強靭性を維持することを目指す。

(注)原則承認レターでは、インセンティブを受けるための最低条件と追加条件が提示される。ITAの場合は、インセンティブの発効日の申請に加え、最低条件の順守を申告する必要がある。

(山口あづ希)

(マレーシア)

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