インド準備銀、金融商品の誤販売対策を大幅強化へ

(インド)

調査部アジア大洋州課

2026年02月19日

インド準備銀行(中央銀行、RBI)は2月11日、金融機関による金融商品の誤販売(mis‑selling)を防止するため、広告・マーケティング・販売行為に関する包括的な草案「Draft Amendment Directions外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を公表した。インド国内では、以前から金融商品の誤販売が取り沙汰されており(2025年6月16日記事参照)、今回の草案は誤販売の対策・防止を大幅に強化するものとなっている。これにより、保険会社は銀行窓販や代理店販売に関する管理体制の見直しが求められる。

草案では、広告表示の誤解防止や不当な優位性をうたう表現の禁止、第三者商品を自社商品であるかのように誤認させる表示の禁止など、広告・販売資料に関する厳格な基準を設定している。また、銀行窓販などで問題となってきた「強制的な抱き合わせ販売」や「明示的同意のない販売」を明確に禁じ、複数商品の同時同意取得(クラブ化)も不可とした。さらに、デジタルチャンネルで問題視される「ダークパターン(注)」を排除するため、ユーザーインターフェースの設計にも規律を課している。

販売プロセス面でも、顧客のニーズ・リスク許容度に合致しない商品の販売を「不適切販売」と定義し、適切性評価の徹底を求めている。販売後30日以内の顧客意見収集、代理店の明確な識別表示、販売員の行動規範の整備など、内部管理・苦情処理プロセスも強化される。背景には、銀行チャンネルでの保険や投信の誤販売が社会問題化していることがあり、RBIは実効的な是正措置として、誤販売が認定された場合の「全額返金と追加補償」も規定した。

今回の草案は、インド金融市場での顧客保護の水準を大きく引き上げるものであり、特に保険・投資信託を含む第三者商品の販売管理、銀行と販売代理人の関係整理、デジタル販売の透明性など、幅広い領域に影響が及ぶとみられる。金融機関には販売体制の管理・徹底と内部統制の強化が迫られ、これまで以上に顧客本位の業務運営が求められるかたちとなる。

草案は2026年3月4日まで意見募集を行い、最終案の確定後、2026年7月1日から全面適用される予定だ。

(注)ウェブサイトやアプリで、ユーザーを欺くデザインや表示を用いて、意図しない購入や契約、情報提供をさせる手法。

(野本直希)

(インド)

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