外国人の就労査証の発給基準、2027年1月から引き上げ

(シンガポール)

シンガポール発

2026年02月18日

シンガポールのローレンス・ウォン首相兼財務相は2月12日、2026年度(2026年4月~2027年3月)政府予算案で、外国人の就労査証の発給基準を2027年1月から引き上げると発表した。国民の給与水準の上昇を踏まえ、幹部・専門職向け就労査証「エンプロイメント・パス(EP)」および中技能者向け就労査証「Sパス」について、発給基準となる最低基本月給をそれぞれ引き上げる。

発表によると、EPの新規申請について、2027年1月から発給基準となる最低基本月給を、現行の5,600シンガポール・ドル(約68万円、Sドル、1Sドル=約121円)から、6,000Sドルに引き上げる。また、金融サービス分野におけるEPの最低基本月給についても現行の6,200Sドルから6,600Sドルに引き上げる(注1)。EPの更新については、2028年から新基準が適用される。

また、Sパスの新規申請についても、2027年1月から最低基本月給を現行の3,300Sドルから3,600Sドルに引き上げる。金融サービス分野のSパスについては現行の3,800Sドルから4,000Sドルに引き上げる予定だ(注2)。Sパスの更新についても、2028年から新基準が適用される。

さらに、同首相兼財務相は、低賃金労働者支援の一環として、外国人を雇用する雇用主に義務付けているフルタイム国民(永住権者を含む)の現地適格月給(LQS)について、2026年7月から、現行の1,600Sドル以上を1,800Sドル以上へと引き上げると発表した。

グローバルミニマム課税導入で、貿易産業省の投資誘致支出拡大へ

ウォン首相兼財務相は、2025年度の財政収支について、151億Sドル(GDP比1.9%)の黒字となる見通しを示した。また、2026年度の財政収支は、85億Sドル(GDP比1%)の黒字を見込んでいるとした。

同首相兼財務相は、「税源侵食と利益移転(BEPS)2.0」イニシアチブの第2の柱であるグローバルミニマム課税(最低税率課税)の導入により、2027年度から法人税収の増加を見込んでいると述べた(注3)。また、投資先としての同国の競争力維持するため、2026年度の貿易産業省(MTI)の支出が大幅に増えるとした。MTIの支出額は、2025年度の66億Sドルから2026年度に111億Sドルへと増加する見込みだ。さらに、MTIの支出は今後数年間にわたり増加が続くとの見通しを示した。

(注1)EPの最低基本月給は申請者の年齢(23歳から)により段階的に引き上げられ、45歳以上については1万1,500Sドル。金融サービス分野のEPは、45歳以上が1万2,700Sドル。

(注2)Sパスの基本月給は、45歳以上について5,100Sドル。金融サービス分野は、45歳以上が5,650Sドル。

(注3)グローバルミニマム課税の対象となる多国籍企業は、最低15%の最低税率と実効税率との差額分に対して、追加納税の「国内トップアップ税」が課される(2023年2月16日記事参照)。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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