ペルー政府による中国出資港湾の監督を巡る裁判で、米中政府も応酬
(ペルー、米国、中国)
リマ発
2026年02月13日
中国国営の海運大手、中国遠洋海運集団(COSCO)が60%出資するチャンカイ港の運営会社はペルー政府を相手取り、民間施設である同港がペルー公共交通施設投資監督庁(OSITRÁN)による監督を受けることを巡って裁判で争い、リマ第一審裁判所は1月29日、OSITRÁNに対して監督、監査などを行わないよう命じた。
ペルー政府は控訴を検討している。首相府は2月11日、「ペルー政府は憲法にのっとり国内企業と外国企業を差別することなく扱い、自由競争下での企業投資を歓迎する。他方、港湾運営会社は民間港湾であってもペルーの法規に従って、国家の安全、海上保安、港湾管理、税関などの業務に関わる行政機関と地元自治体の管理、監察業務に応じなければならない。OSITRÁNに関する今回の判決については、法に基づく対応を取ることになるだろう」との声明を発表した(首相府声明のリリース
)。
今回の判決は、OSITRÁNと公正競争・知的財産保護庁(INDECOPI)が進めているチャンカイ港の港湾利用料の調査にも影響する(2025年4月15日記事参照)。
判決では利用料調査は対象に入らないことが記されているが、OSITRÁNのベロニカ・サンブラノ長官は「運営会社と刑事裁判を抱えている状況では、利用料調査を進めることは実質的に難しい」との見方を示した(地元経済紙「ヘスティオン」2月11日付)。チャンカイ港は、2024年11月に中国の習近平国家主席によるペルー訪問に合わせて開港後、港湾利用料が確定しない状況が続いている。
さらに、米中関係にも影響が及んでいる。第一審判決に対し、当事者のペルー政府が対応を検討している段階だが、米国政府と中国政府が応酬する異例の事態となっている。
米国国務省西半球局は2月11日、X(旧Twitter)で「ペルー最大の港の1つであるチャンカイ港が中国の略奪的な所有者の管轄となり、ペルー政府が監督できなくなることを懸念している。われわれはペルー政府が自国領土内の重要なインフラに主権的な権利を有するという考えを支持する。これは域内と世界に対して、中国の安い資金で領土権を犠牲にしてはいけないという教訓である」と発表し、判決に対する懸念とペルー政府を支持する姿勢を明らかにした。
これに対し、中国外務省の林剣副報道局長は2月12日の記者会見で、米国側の発信は露骨な捏造(ねつぞう)と名誉毀損(きそん)を行っているもので断固反対すると批判した。
(石田達也)
(ペルー、米国、中国)
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