ペルー政府、中国海運大手が出資するチャンカイ港の港湾利用料調査を実施

(ペルー、中国)

リマ発

2025年04月15日

ペルーの公正競争・知的財産保護庁(INDECOPI)は410日、プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行い、中国国営の海運大手、中国遠洋海運集団(COSCO)が60%出資するチャンカイ港の利用料について、同庁自由競争保護委員会(CLC)が調査を行った結果、自由競争を妨げる料金設定があるとの結論に至ったことを明らかにした。

CLCは、市場の独占や寡占による自由競争の妨げから消費者を守り、ペルー経済の健全な発展を維持するための独立した調査機関だ。今回の調査は公共交通施設投資監督庁(OSITRÁN)の要請に基づいて実施したもので、CLCは既に調査結果をOSITRÁNに送付している。

プレスリリースによると、調査項目はコンテナの積み出しや陸揚げ、船舶の係留、運輸サービスなどで、首都リマに近いカジャオ港との競争性の確保という視点から実施された。両港は地理的条件に加え、運営方式も異なる(注)ことから、輸出入業者、船舶会社、運送会社などへのヒアリングも行い、技術的な調査を行ったという。

調査内容の詳細は公表されていないが、地元経済紙「ヘスティオン」は411日、項目によってはカジャオ港より4.5%から72.0%低い使用料が設定されている、と報じた。

INDECOPIの発表と同日、港湾の運営会社コスコ・シッピング・ポーツ・チャンカイ・ペルー(CSPCP)は反対の声明を発表した。CSPCPは声明の中で、港湾システムの利用者や船会社に恩恵を与え、かつ、市場競争力のある条件を提供していることを強調。INDECOPIの調査内容を精査しているところだが、法的措置も含めて今後の対応を検討すると発表した。仮にCSPCPから不服申し立てなどがあると、OSITRÁNが使用料設定の妥当性を判断する段階に進めなくなるなどの事態が予想され、利用料金の決定までに長期間を要する可能性が出てきた。

チャンカイ港は、中国の習近平国家主席のペルー訪問に合わせて202411月に開港した(2024年11月18日記事参照)。20255月まではシステムの稼働状況やペルー当局との連携の確認のため試験的な運用期間と位置付けて運営されている(2024年10月3日記事参照)。

写真 チャンカイ港の様子(ジェトロ撮影)

チャンカイ港の様子(ジェトロ撮影)

(注)チャンカイ港は民間投資により建設され、運営も民間企業が行うものだが、カジャオ港は政府からのコンセッション(運営権委譲)で運営されている。

(石田達也)

(ペルー、中国)

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