メルコスール・シンガポールFTA、パラグアイとシンガポール間で発効
(パラグアイ、シンガポール、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、メルコスール)
調査部米州課
2026年02月03日
パラグアイ商工省(MIC)は、パラグアイとシンガポール間でメルコスール・シンガポールFTA(MCSFTA)が2月1日に発効したと発表した(2月3日付MIC公式インスタグラム)。MCSFTAは、2023年12月に署名された(2023年12月13日記事参照)。メルコスール側では、メルコスール正式加盟国4カ国(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)のいずれか1カ国での議会承認および批准書の寄託者への寄託によって、シンガポールとの間で効力を持つ(2026年1月9日記事参照)。現時点では、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイで上記手続きは完了していないため、パラグアイがシンガポールとの間で最も早く当該FTAを発効させた。
現地紙「ラ・ナシオン」(1月14日付)は、MCSFTAがサービス、知的財産、衛生植物検疫措置など幅広い分野を含むため「企業や投資家にとって予見可能性が高まり、パラグアイの経済発展や投資誘致の追い風になる」と報じている。MCSFTAは全19章から構成されている(2026年1月9日記事参照、注1)。
パラグアイは人口約697万人で、1人あたりGDPは6,799ドル(注2)と、4カ国の中では最も低い(注3)。安価な人件費と低い税率により、昨今は労働集約産業が集積しブラジル向けのニアショアリング輸出製造拠点としての地理的優位性を有している。伝統的には農牧畜産業に強みがあり、主要輸出品は大豆、牛肉、コメなど。世界最大規模の水力発電所、イタイプダムを有していることから電力も輸出する。また、台湾と外交関係がある。
パラグアイ・シンガポール間の貿易をみると、2024年のパラグアイからシンガポール向け輸出額は約794万ドル(注4)で、パラグアイの総輸出額の1%にも満たない(注5)。一方、シンガポールからの輸入額は約3億7,300万ドル。主要輸入品は、HSコード2710に分類される石油製品で、総輸入額の9割以上を占める(添付資料表参照)。
ブラジルを代表する弁護士事務所の1つ、ピニェイロネット法律事務所によれば、MCSFTAの特徴として、電子商取引章および知的財産章を挙げる。電子商取引章(第12章)では、電子認証、オンライン消費者保護、スパムへの対応、ペーパーレス取引の促進、電子請求書発行、サイバーセキュリティーなどに関する協力が含まれ、国境を越えたデータフローやデジタル経済への中小企業の参加促進について規定される。知的財産章(第15章)では、アジアの国では初めてブラジル産コーヒーが地理的表示(GI)のリストに掲載された。
(注1)協定文書は、パラグアイ外務省ウェブサイト
参照。
(注2)出所はIMF。データは2024年のもの。
(注3)アルゼンチンの1人あたりGDPは1万4,359ドル、ブラジルは1万578ドル、ウルグアイは2万4,380ドル。いずれも出所はIMF。データは2024年のもの。
(注4)出所はメルコスール事務局統計。
(注5)パラグアイの最大の輸出相手国・地域はチリ(輸出額全体の24.4%)、次いでEU(11.2%)、米国(10.7%)、台湾(6%)、ロシア(5.4%)。出所はメルコスール事務局統計。
(辻本希世)
(パラグアイ、シンガポール、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、メルコスール)
ビジネス短信 96e1336cebf56626




閉じる
