山東省、カーボンフットプリント管理制度を整備し欧州CBAMへの対応を図る
(中国)
青島発
2026年02月03日
山東省政府は2025年12月29日、「グリーン転換の推進とカーボンフットプリント(注1)管理制度の整備に関するアクションプラン」
を発表し、1月14日に同プランに関する記者会見を開催した。欧州連合(EU)は2025年12月17日、炭素国境調整メカニズム(CBAM)の修正案を発表し、炭素関税の対象を従来の6種類の原材料から、冷蔵庫や洗濯機など家電製品を含む180種類の完成品に拡大し、2028年から段階的に実施することを決めた(2025年12月19日記事参照)。山東省政府はこうした「グリーン貿易障壁」は、輸出依存度の高い伝統産業にとって深刻な問題となっていると指摘した。
山東省政府は、今回のアクションプランは、カーボンフットプリント算定の基盤整備、省エネ・排出削減への政策支援(政府調達、財政金融面での優遇)、グリーン・低炭素型サプライチェーンの構築などを通じて、企業の排出削減を推進し、製品の国際競争力の向上と国際的な「グリーン貿易障壁」への対応力強化を図るものだと説明した。
アクションプランでは、カーボンフットプリント算定の取り組みについて、鉄鋼、タイヤ、繊維、アルミニウム精錬業界においてさらに推進し、石油化学・化学工業などの基礎産業、基礎エネルギー、運輸分野においてもカーボンフットプリントデータ算定を実施するとした。また、自動車部品、ガラス、家具、農産物などの高炭素製品または貿易商品を対象に、毎年1~2の代表的な業界と一部重点企業を選定し、製品カーボンフットプリント算定のパイロット事業を展開し、業界別のバックグラウンドデータセットを構築するとした。その上で、2027年までに典型的な業界における300製品について、2030年までに600製品についてカーボンフットプリント算定を完了するとした。
山東省政府は、中国は「2030年までのカーボンピークアウト・2060年までのカーボンニュートラル」の実現を目指しており、世界的にグリーン貿易ルールの見直しが進む中、カーボンフットプリント管理はグリーン貿易の新動向への対応や産業チェーン・サプライチェーンの低炭素化を促す重要な政策手段となっていると説明した。また、工業部門やエネルギー消費が大きい山東省にとって、カーボンフットプリント管理の強化は喫緊の課題となっていると指摘した。
山東省商務庁は記者会見で、グリーン貿易と低炭素転換に向けた2つの対策を示した。まず、東南アジアや中東などの新興市場に注目し、新エネルギー自動車(NEV)、リチウムイオン電池、太陽光発電製品、グリーン燃料船舶などの輸出を拡大し、海外のユーザー企業がサプライチェーンの排出削減目標を達成できるよう、解決策を提供していくとした。
また、国のリマニュファクチャリング製品(注2)輸入試行政策を利用し、廃棄設備の再製造を推進するとした。輸入製品に対する利子補助を活用して、新エネルギー産業に必要なリチウム、ニッケル、コバルトなどの鉱物資源の輸入を支援し、先進的な設備や技術の輸入拡大を奨励することで、生産段階での排出削減を後押しすることも盛り込んだ。
(注1)カーボンフットプリントとは、商品の原材料から製造、調達、販売、使用、廃棄、リサイクルまでのライフサイクル全体で排出される温室効果ガス(GHG)を二酸化炭素(CO2)排出量に換算した指標。
(注2)リマニュファクチャリング製品とは、本体部分は当初の性能を備えなくなったものの、循環再生の価値を有する原製品を完全に分解し、分解された部品に対して専用の工程・技術を用いて修復・加工を施すことで原製品の性能を回復させ、またはそれを上回る性能を備えた再生製品のこと。
(董玥涵)
(中国)
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