山東省、2026年は内需拡大と「新質生産力」を軸に成長率5%以上を目指す
(中国)
青島発
2026年02月09日
山東省政府は1月27日、2026年の政府活動報告を発表した。同報告は2025年の活動を総括するとともに、2026年の主要目標として、域内総生産(GRP)実質成長率を前年比5%以上、一般公共予算収入を前年比2%増、都市部調査失業率を5.5%前後、都市部新規就業者数を110万人以上とすることを掲げた。あわせて、国が定める省エネ・脱炭素指標と環境改善目標の全面達成を目指すとした。目標達成に向けた最優先課題としては、内需拡大と新質生産力(注1)の発展を打ち出している。
優先任務と位置付けた内需拡大については、消費の潜在力の解放、投資の積極拡大、インフラ建設強化の3つの面から対策を講じる。消費面では、住民所得の向上や有給分散休暇制度の実施を通じて潜在需要を喚起するほか、自動車や家電、デジタル製品などの買い替え(注2)を支援する。さらに、ライブコマースなどの消費の新形態を強化するとともに、チケット経済(注3)やスポーツイベントを通じたサービス消費の拡大を図る。
投資面では、2,000件の省級重要プロジェクトを推進し、9,800億元(約22兆円、1元=約23円)以上の投資完了を目指す。インフラ分野では、交通・エネルギー・水利に計5,300億元規模を投じる。特にエネルギー分野では、栄成石島湾原子力発電所の拡張や洋上風力発電などの新エネルギー関連のプロジェクト建設を加速させ、原子力や地熱の総合的利用を拡大させる方針を示した。
新質生産力の発展に向けては、技術、産業体系、人材確保の3点から注力する。技術面では、工作機械やスマートチップ、新型蓄電などの重要分野に焦点を当て、重大技術開発プロジェクトを実施する。また、企業にイノベーションの主体としての機能を発揮させることに注力し、ハイテク企業を大規模化し、一定規模以上の企業(注4)をハイテク化することで、一定規模以上のハイテク企業数を1万8,000社まで増加させる。
産業体系の構築では、既存産業の高度化に向けた3,000件規模の技術改造プロジェクトを実施する一方で、新興産業の育成を加速させる。具体的には、ハイエンド設備や情報技術サービス、新エネルギー、新材料の「4つの兆元級」の支柱産業と、人工知能(AI)やバイオ医薬、新エネルギー自動車、航空宇宙・低空経済などの「4つの兆元級」のポテンシャル産業を育成する。なかでも、ロボット産業については、済南市や青島市、淄博(しはく)市、済寧市の4都市を同産業の基地として強化し、ロボットおよびスマート設備の産業規模を2,000億元以上に引き上げるとした。また、山東省の新エネルギー自動車の生産台数を120万台以上とする目標も掲げた。
このほか、青年人材約100万人の山東省への誘致を目指すほか、改革の全面的深化、高水準な対外開放、農村の全面的振興、民生改善といった多角的な取り組みも並行して進めるとしている。
(注1)イノベーション主導で、従来型の成長モデル・アプローチから脱却し、ハイテク、高効率、高品質を特徴とする先進的な生産力を指す。
(注2)中国政府は自動車、家電製品など消費財の買い替えについて補助金を支給する政策を2024年より実施している(詳細はビジネス短信特集「中国の設備更新と消費財買い替え推進政策の最新動向」参照)。2026年の中央政府の買い替え補助金政策は2026年1月6日記事参照。
(注3)チケット経済(票根経済)とは、公演、スポーツ、旅行などのチケットを核に、飲食やデータサービスなどが連鎖的に発生する経済モデル。
(注4)年間の主業務売上高が2,000万元以上の工業企業を指す。
(朱秀霞)
(中国)
ビジネス短信 7f688ca743cd5598




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