米財務省、2025年上半期までの為替報告書を公表、日本は引き続き監視対象

(米国、日本)

ニューヨーク発

2026年02月02日

米国財務省は1月30日、為替政策報告書を公表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。同報告書は半期ごとに連邦議会へ提出される。財・サービス貿易の輸出入総額上位20カ国・地域を対象に、今回は2025年6月までの1年間の為替政策を分析・評価した。

今回の報告書では、前回と同様、「為替操作国・地域」に該当する国・地域はないと結論付けた。為替操作国・地域の認定は、2015年の貿易円滑化・貿易執行法に基づく3つの基準(注1)の全てを満たしているかどうかを基に判断する。「為替操作監視対象」リスト(注2)には、前回の報告書(2025年6月6日記事参照)で対象国・地域となっていた中国、日本、韓国、台湾、シンガポール、ベトナム、ドイツ、アイルランド、スイスに加え、新たにタイも追加された。日本は4期連続となる。また、今回は、(1)自国通貨高のみならず自国通貨安に対抗するためにどの程度介入しているのかについてもより広範に監視、(2)為替介入以外にも、資本規制やマクロ・プルーデンス措置(注3)、政府年金基金などの政府投資手段などを通じて為替市場に影響を与える可能性のある政策についても、警戒を強化など、より広い範囲で監視していくことが記載されている。

日本が監視対象となっている理由は前回と変わらず、対米貿易黒字(650億ドル)に加え、経常収支黒字(GDP比4.8%)の2つの要件を満たしたことが要因。経常収支黒字の拡大は、対外直接投資の収益や配当などをはじめとする第一次所得収支が高い水準となっていることが理由として挙げられている。

今回も最も多くのページが割かれたのは中国だ。経常収支および貿易収支黒字が巨大であり、2025年の対米貿易黒字では2,460億ドルと、依然として米国の貿易相手国・地域の中で圧倒的に大きいと指摘している。また、為替に関しては、前回と同様に、(1)為替政策を不透明な形で用いており、為替レートメカニズムについて非常に限られた透明性しか提供していない、(2)人民元を管理するために、特に⽇次固定レートや中国国有銀⾏による不透明な為替取引など、さまざまな⼿段を用いていると指摘した。その上で、中国がマクロ経済の基礎的条件に沿って、人民元の為替レートが適切に秩序ある形で上昇することを許容することが重要だと指摘した。

その他の国・地域では、アイルランド、韓国、スイス、台湾、ドイツ、ベトナム、タイについては対米貿易黒字と経常収支黒字の2つの基準を、シンガポールについては為替介入と経常収支黒字の2つの基準をそれぞれ満たしているとした。

(注1)財・サービス貿易の輸出入総額上位20カ国・地域を対象に、(1)大幅な対米貿易黒字(年間150億ドル以上の財・サービス貿易黒字額)、(2)GDP比3%以上の経常収支黒字、(3)持続的で一方的な為替介入(過去12カ月間のうち8カ月以上の介入、かつGDP比2%以上の介入総額)という3つの基準。

(注2)上記3基準のうち2つに該当した国・地域は「監視対象」リストに登録される。登録されると、少なくとも今後2回の報告書で監視対象国・地域として取り上げられ、3つの基準での改善が一時的でなく永続的なものとなっているかどうかについて評価される。

(注3)金融システム全体のリスク状況を分析・評価し、それに基づいて制度設計・政策対応を図ることを通じて、金融システム全体の安定を確保するとの考え方に基づく措置。

(加藤翔一)

(米国、日本)

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